Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

株しか買うものがない?

 先週熱海のリゾートマンションを求める人が殺到しているという記事を紹介したが、テレワーク等で便利だというだけではなく、お金そのものが余ってきているのではと僕は思った。麻生大臣が言うように「預金・資産が増えている」というのは確からしい。要は、欲しいものがないのだ。

 

 それなのに「第三波」がやってきているということで、第三次の補正予算の枠がさらに膨らもうとしている。現時点で使い道の見えていない第二次補正の予備費が7兆円もある上に、10兆円ほどと思われた第三次補正は20兆円をこえるものになりそうだ。その理由はと言うと、現時点で需給ギャップが34兆円ほどあるとの予測があるから。供給力の方が34兆円分上回っていて、モノやサービスがダブついているから需要を喚起する必要があるということ。

 

 しかし政府が借金をしてその分を市井にバラまいたとしても、本当に需要が生まれるのだろうか?例えば特別定額給付金の10万円/人にしても、それで食いつないだという人はもちろんいるだろうが、多くはそのまま預金になったとの意見もある。

 

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 だから、熱海の中古リゾートマンションでも買っておこうかという人が増えたのではないか。じゃあそれ以外に買いたいものはというと・・・どうしても株式ということになる。「COVID-19」感染拡大で不況になっているのは間違いないのに、なぜか日本株が29年ぶりの高値だという。

 

実体経済を上回り日経平均"29年ぶりの株高"を導き出した投資家の心理 「すでに株式バブルは発生している」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

 経済学者は「株式バブル」だというが、その原因は「カネ余り」ではないかと思う。僕のような小口投資家(優待狙いの外食産業くらいしか持っていない)にも、証券会社からは電話がかかってくる。「あの株もこの株もとっくに底値はうって強気ですよ。xx円までは年内にいきますよ」などと煽ってくる。

 

 株式が上がっているのは別の要因もある。景気回復のため日銀が日本株を買い支えるオペレーションをしばらく前からしているが、現時点でもそれが続いているらしい。結局市場の相当部分は日銀が保有、各社は日銀の子会社になりつつあるのだ。

 

 これは健全な市場メカニズムとは言えません。願わくば、これ以上市場をジャブジャブにするような補正予算などは慎んでほしいのですが。