Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

銀行業務の標準化も必要(前編)

 「デジタル庁」が自治体システムの標準化、つまり自治体業務の標準化に果たしてもらう役割は大きい。1,700を超える自治体で、本来同じ住民サービスをするはずなのにそのシステム仕様がバラバラ、連携に支障をきたしているのは何度もご紹介した通り。

 

自治体システム標準化・・・の前に - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 いつも悪役になるのが「SIer」、いわゆるベンダー企業だ。目の前の受注欲しさに他社とは異なる仕様を提案、当初は安値で受注してもその後のリプレースはさせないように、わざと独自仕様を盛り込んだりする。IT要員が質量ともに不足していて、十分なシステム設計能力のない自治体は、仕様書も十分読み解けないまま安値提案に乗り「丸投げ」する。

 

 これでベンダー・ロックインが完了し、のちに別ベンダーに乗り換えようとすると、「分かりました。それではシステム内のデータ毎引き取らせていただきます」と脅されたりする。本来そのデータは自治体のもの、ベンダーが持ち帰るなど許されようはずもないのだが、現場の自治体職員はおろおろして、ベンダーの営業マンに屈してしまう。

 

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 自治体が典型的だが、業務はほとんど同じなのに別々のベンダーロックインに悩まされている業界は他にもある。SIerの事業規模の大きなものとしては、銀行業界がある。「A銀行、B銀行」と名乗っていても、その中身は「日銀A支店、日銀B支店」のようなもの。それでも他行との違いを際立たせようと、例えばATMの仕様でメンテナンス等で取引停止状態をお役様に示すのに、

 

・A銀行 取引停止と緑のプレートでATMの右上に

・B銀行 お取り扱い停止と赤のプレートでATMの左上に

 

 しろなどと仰る。ベンダーは「拝承、拝承」と承り、カスタマイズ費を頂く。

 

 考えれば無駄な話、メガバンクなどはともかく中小金融機関にとってはシステム投資の負担が重い。そこで共同センターを作ってコスト削減を図ろうというのは自然な流れ。僕の記憶では、40年近く前から、その構想はあった。ところが構想はあれど、なかなか進まないプロジェクトだったことも確かである。

 

<続く>