Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

OECDのデジタル政策委員会

 またロックダウン状態になってしまったパリだが、僕が最近パリに行ったのはOECDの会合に出るためだった。もう2年も経つのかと、時の流れの速さに驚いている。というのは、今回OECDのデジタル政策を議論している委員会について、状況を聞く機会があったからだ。

 

 OECDは言わずと知れた(強権的な政治体制を持たない)先進国の集まり、国連の場などと違って比較的コンセンサスが得られやすいところだ。デジタル政策に関しては1980年代に個人情報保護の最初のガイドラインを出すなど、主導的な役割を果たしてきた。OECDは各国政府から見てシンクタンクの立場だが、そこに民間からのInputをするための機関としてBIACというものも(パリに)ある。OECD/BIACのデジタル政策部門には、何人かの日本人も参加して重要な役割を果たしている。

 

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 今回はOECDデジタル政策委員会での議論の現状として、以下のような話を聞けた。主なテーマは、AI原則・プライバシー原則・セキュリティガイドライン・通信政策である。暴力的過激派コンテンツの排除やブロードバンド接続によるデジタルデバイド解消や環境負荷軽減のようなことも継続協議している。シンクタンクとして、AIの計測、クラウドサービスの計測、データフローの価値計測など地道な調査もしている。

 

 今HOTな話題はと聞くと「AIとデータハンドリングについて」だとの回答だった。その後議論させてもらったのは、以下の3点。

 

・AIとデータは密接に結びついていて、十分なデータが無ければAIは期待された機能を発揮できないこと。

・AIの暴走を恐れる欧州諸国は規制論ばかりを先行させているが、ちゃんとしたAIの定義なしに「何もかも規制・抑制」してはいけないこと。

・データについては、OECDは個人情報に寄りすぎで、IoT/5G時代にはモノのデータが圧倒的に増えるので、モノのデータについての議論も必要ということ。

 

 強権的でない政治体制の国々とはいえ各国の歴史的背景や政治事情もあって、民間がもっているデータの政府がどのくらいアクセスできるかは諸国間でも温度差が大きいという。ある案件では、米国が怒って席を蹴ったともいう。まあ次のバイデン政権ではそんなことはないのかもしれませんが、日米欧でも一枚岩とはいかないようです。OECD/BIACで奮闘されている皆さんに敬意を表しますよ。