Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

正常化・健全化への長い道のり

 先月、日銀がマイナス金利政策を改め、17年振りの利上げ(というか金利のある経済環境)に踏み切った。金利は資本主義の鼓動であり、これまでの10余年間日本経済は仮死状態にあったともいえる。ようやく金融正常化のだ一歩が記されたわけだが、当面する課題も多い。住宅ローンを抱えている人、つなぎ融資にたよる中小企業などにとっては、困った事態である。ポピュリストたちは、一斉に日銀の決定を非難するだろう。

 

 政府財政についても、困った話がある。日経紙によれば、1,000兆円を越える債務を抱える日本政府は、このまま金利が少しずつでも上がっていけば、2033年には今の国債利払いより15兆円多くの利払いをすることになるという。これは消費税にして5~6%にあたる。それだけ増税しても、元本は減らない。元本を償還しようとすれば、消費税20%という可能性も見えてくるのだ。

 

    

 

 現下の国際情勢では軍事費は削減できないから、膨れ上がる社会福祉費を削減することになるだろう。増税か、福祉の削減か?いずれにせよ国民負担(*1)によって、金融正常化・財政健全化を少しずつでも成し遂げていくしかないと思われる。

 

 マイナス金利政策は<アベノミクス>の目玉、安倍元総理亡き後も旧安倍派を中心に金融緩和とバラマキを進める声は大きかった。菅政権では財政健全化を骨太方針に盛り込んだが、菅総理は旧安倍派に睨まれて退陣したようだ。あとを受けた岸田政権下では骨太方針に1行「方針2021に基づき」と書き込んだ(*2)のが精一杯、ジャブジャブ財政政策は続いていた。

 

 「COVID-19」禍で急激に膨らんでしまった財政赤字を取り戻すには、バラマキを求める国民に抗する政治的な矜持が必要。さて岸田政権後、この展開はどうなるのでしょうか。いずれにせよ長い道のりになるのは間違いなく・・・。

 

*1:「いずれにせよ国民負担です」 - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

*2:気付いた記者はいた - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)