Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

FOIPへの楔

 米国が提唱し始めた「Free Open Indian Pacific(FOIP)戦略」は、明らかに中国の「一帯一路」を意識したものだ。中東・アフリカから欧州までをうかがう中国の通商路確保戦略に対し、自由・資本主義・法の支配の原則を順守する陣営でインド洋と太平洋の通商を守ろうということ。

 

 その具体的な例として、米国大使館の人に聞いたところ「海底ケーブル」を挙げた。太平洋をわたる太い通信ケーブルを中国の影響の少ない海域を通してカリフォルニアからシンガポールまで引く(もしくは引いた)という。「影響」の意味が良くわからないが、特殊船舶による「盗聴」を心配しているのかもしれない。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019101800800&g=int

 

 日本政府も賛同しているこのFOIP戦略に対して、中国が打ち込んだ「楔」がソロモン諸島との連携。具体的には、ツラギ島の賃借という形で現れた。ソロモン諸島は1978年英国から独立した国で、人口は55万人ほど。首都ホニアラは、ガダルカナル島にある。そう、1942~43年に日米両国が激戦を繰り広げた海域である。

 

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 1942年春にインドネシアの海域を手中にした日本軍は、次の目標を米豪連絡線の遮断とした。パプア・ニューギニアの港カビエンやラエ、ラバウルを占領して拠点化し、ラエから南へポートモレスビーを目指した。ポートモレスビーは、現在のパプア・ニューギニアの首都である。一方東へはラバウルからフィジーサモアを目指し、その途中にあったのがガダルカナルとツラギ。

 

 ガダルカナルに飛行場を、ツラギに水偵基地を建設中に米軍機動部隊が襲来して以後の激戦につながったものだ。ガダルカナルとツラギの間は「鉄底海峡」と呼ばれて、日米双方の多くの艦船が沈んでいる。この海域はアバロンヒルの海戦ゲーム「Flat Top」のボードを長い時間にらみつけていたので、島の位置関係などは今でも覚えている。

 

 あれから3/4世紀経っても、太平洋の焦点は変わらないというのが僕の印象。中国も「21世紀の米豪遮断作戦」を意図していると思う。ますますキナ臭くなってきて、平和が脅かされているようです。