Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

海兵隊、次への革新

 先日、野中郁次郎著「アメリ海兵隊~非営利組織の自己革新」を別ブログで紹介した。250年間、艦上警察として発足して、前進基地防護・陸上部隊支援・水陸両用強襲・世界規模での即応部隊と役割を変えてきた。

 

https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/2020/06/04/000000

 

 現在はイラクアフガニスタンなど砂漠・山岳地での任務が多いのだが、2030年に向けて「次への自己革新」が起きているようだ。今年3月に「戦力デザイン2030」が発表されていて、これが革新の方向性を示している。もちろん現時点では「案」であり、決定事項ではない。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20200603-00181621/

 

 軍事評論家や国際政治学者が、いろいろ論評している記事を読んだ。この表から見ると、全般的に微減で旧型兵器を大幅に削減している。特徴的なのは、

 

・戦車部隊全廃 ⇒ 軽装甲偵察隊増強

榴弾砲削減 ⇒ ロケット砲増強

・偵察ドローン隊増強

 

 である。地対艦ミサイルが特に強化されるようで、主戦場を内陸から海洋に、おそらくインド・太平洋(FOIPのところ)に移す構想と思われる。明らかに海洋進出を強める中国を「仮想敵」としたものだ。

 

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 巨大な国土を持つものの、米国は本来は海洋国家。海洋国家の最前線は、例えば英国から欧州大陸を見るならドーヴァー海峡ではなく、アントワープなどの港の向こう側にあるというのが常識だ。米中衝突となったとき米国の考える最前線は、理想的には香港であり金門島もしくはその対岸になろう。仮に最前線である香港を海兵隊が守るとして、中国本土からの攻撃は、

 

海上からの水上部隊

・ミサイル含む航空部隊

・深圳からの陸上部隊

 

 によるものになる。水上部隊には地対艦ミサイルが有効だ。航空部隊には洋上空母などからの航空支援や海兵隊自体の対空防御で対応する。さて人民解放軍100万人が攻めてきたとき、戦車なしで戦えるのか?

 

 ここが最大のポイントだろう。戦車はもともと機関銃よけでトーチカ潰しのものだった。歩兵等を使った攻勢に出なければ、必ずしも必要ない。オスプレイやヘリ部隊で迅速な部隊展開ができ、ロケット砲の支援があれば守り切れるというわけ。

 

 この変革が沖縄の米軍基地のこれからにどう影響してくるか、注視していましょう。