Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

FOIP側、まずは1勝

 チリ政府が太平洋を渡る海底ケーブルの敷設ルートとして、中国案ではなく日本案を採用するとの報道があった。中国側はチリから直接上海や香港につなげるルートを提案していた。このルート、直線的で短く敷設できるメリットはあるが、途中に国らしいものは何もない。ハワイからも遠く、ひょっとするとクェジェリン辺りを通るのかもしれない。かつてハルゼー提督が真珠湾で「大西洋などこちらに比べたらプールだ」と言ったというが、太平洋は広大で中継地点がない。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62014440Y0A720C2MM8000/

 

 採用されたのは、チリからニュージーランドオークランド、オーストラリアのシドニーへ繋ぐルート。すでに東京~シドニーは繋がっているので、東京~南米へ「自由で開かれた太平洋」を通過していくわけだ。

 

 以前「FOIP対一帯一路」として米中対立の海底闘争を紹介したが、今回はFOIP側が1勝を挙げたと言っていいだろう。日経の記事では、これでチリ~シドニー間のケーブル受注競争は、Huaweiらに比べてNECなど日本勢が優位になったと言っているが、それよりずっとインパクトは大きい。(さすがは経済新聞である)

 

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 チリだって他の南米諸国だって、中国との経済的な結びつきは非常に大きい。中国マネーなくして経済が成り立つかどうか怪しいくらいだ。(それは日本も似たようなものだが) しかるに米国の圧力があったかどうかは別にして、昨今の中国の振る舞いには危機感を覚えたものと思われる。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/10/28/060000

 

 このケーブルについて気になる点としては、すでに稼働している東京~シドニー間でニューギニア島の東でケーブルが東側に湾曲していること。これはパプア・ニューギニアが事実上中国の影響下にあり、その東のガダルカナル島周辺にも中国が進出してきていること。上記の記事で紹介したツラギ島は、中国が租借したという。

 

 これからも「FOIP対一帯一路」の小競り合いは続きます。すでに英連邦は、香港のことに怒って完全に中国包囲網に入りました。さて、日本はどうするのでしょうかね。