Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「富裕層はズルい」との世論

 大みそかから元旦にかけて、とんでもないニュースが日本を揺るがせた。元日産・ルノーのCEOカルロス・ゴーン被告が秘かに出国、保釈中の身だったのに逃亡したのだ。プライベートジェットで楽器ケースに隠れて出国したようで、映画の1シーンを見るようだ。

 

 逃亡を請け負ったのは、「民間軍事組織」というから穏やかではない。祖国レバノンに帰って、その組織がガードについているような報道もあった。当然、相当額のお金が動いたのだろう。

 

 日本で特別背任などの罪で起訴されているのだが、ルノーの最大株主であるフランス政府は、フランスでの裁判を望んでいたフシもあるし、レバノン大統領も日本政府に引き渡しを要請していた。世界を股に掛けた「容疑者」だが、日本・フランス・レバノンの3国では市民感情に温度差がある。

 

 レバノンでは英雄扱いだが、日本では「墜ちた偶像」というのが当たっているだろう。僕が知りたかったのはフランス市民の反応。いくつかの報道があって、一般市民の多くは「富裕層がズルしている」と捉えているらしい。裁判すらもお金を使えば避けられるというのは、一般市民の理解を得られそうにもない。

 

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 それでなくても、年金改革をきっかけにマクロン政権にデモやストが襲い掛かっているのが今のフランス。ヴェルサイユ宮殿で結婚式を挙げただけでなく、密出国もできてしまう「富裕層」に世間の目は厳しそうだ。

 

 妻のキャロル氏は、フランスでの裁判を希望していたようだが、それが被告に有利に運ぶかどうかは微妙だ。事実上の国有企業であるルノーの元CEOに有利な判決でも出れば、暴動が起きても不思議ではない。

 

 本件に関してはこれまで日本の検察・司法のありかたが前時代的だとの批判があって、8日の被告の記者会見ではこの点が強調されることは目に見えている。確かに長期間の取り調べなど「前時代的」だとの指摘は当たっている部分もあるのだが、世界の世論が日本の司法を叩きはじめるのか、富裕層のズルを批判し始めるのかはよくわからない。興味を持って見守ることにしたい。

 

 それにしても逃亡に鉄道や船ではなくプライベートジェットを使った被告、グレタちゃんにはその点も含めて怒ってやって欲しいものです。