昨日「リベラルな政治家は中間層にどう向き合うか」が欧州をはじめとする先進国の課題だと述べたが、英仏の新内閣はいずれも財政赤字削減のため、大企業・富裕層増税に踏み切りそうだ。
■英国
保守党の不人気さで圧勝するかと思われた労働党だが、思ったほど得票も議席も伸びなかった。しかし第一党にはなり、政権交代はなった。早速突き付けられたのが、前政権が残した負債の処理。公共サービスは削られすぎて、例えば刑務所は満杯。犯罪者が大手を振って出所し、その日のうちに再犯する事件すら起きている。スターマー政権はサービスの回復などに資するため、90億ポンドの増税を決めたが不足だとの指摘がある。シンクタンクの試算では、少なくとも250億ポンドの増税が必要(*1)だというのだ。
左派政権の富裕層増税を見越して、すでに富裕層は海外に逃避し始めている。ミリオネア人口Best10の都市のうち、ロンドンと香港が富裕層人口減少都市(*2)なのだが、さらに超富裕層の脱出が危惧(*3)されている。

◆フランス
総選挙が終わり3極構造(*4)になってしまい、2ヵ月ほどの調整期間を経て、ようやく左派のバルニエ首相が選ばれ組閣している。当面の課題は、信頼を落としつつある財政の再建。結局600億ユーロ余りを、歳出削減と増税で賄うことになった。大企業・富裕層への増税で、180億ユーロ以上が課せられる。
この国でも富裕層逃避情報が出始めた(*5)。さて、日本の方が両国よりずっとGDP比債務は大きいです。総選挙の結果、政権交代して左派内閣ができるのでしょうか?誰がリベラル政治家なのか、よく見えないのが日本の政治状況ですが、彼らは中間層に向き合って、富裕層増税に踏み切れるのでしょうか?
*1:英、予算案で250億ポンドの増税迫られる可能性=シンクタンク | ロイター (reuters.com)
*2:ミリオネア動向、マクロとミクロ - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
*3:イギリスの超富裕層が増税で出国? 秋季予算での税制改革に懸念 - BBCニュース