先週、2つの大国で総選挙があった。9億人以上の有権者がいるインドでは、モディ首相の与党が勝利宣言したとはいえ単独過半数に届かず、事実上の敗戦(*1)。選挙前に野党党首を投獄するなどして努力(!)したにもかかわらず・・・である。経済成長したのはいいのだが、取り残されている人も多く経済格差の問題が与党の足を引っ張ったらしい。野党連合は勢いづいているが、所詮連合。結局は、ヒンズー至上主義のインド人民党中心の連立政権に落ち着くだろう。
もうひとつはメキシコ。左派与党の地滑り的圧勝で、シェインバウム大統領が誕生する。国会議員、地方の首長ら2万ものポストが掛かった選挙で、議員候補者だけでも20名以上が選挙中に暗殺されるという、異常な選挙(*2)でもあった。
こちらも景気そのものは悪くない。米国が中国排除政策をとっているので、NAFTA加盟国であるメキシコに進出する中国企業が多く、活況を呈している。麻薬や米国密入国などの裏ビジネス(!)も堅調だ。ただ、こちらも左派政権の継続による財政悪化などを懸念して、債券や通貨が売られる事態となった。メキシコへの投資の影が差すとして、ペソが安くなっている(*3)のだ。
インドでも通貨ルピーが下落している。通貨の安定(もしくは上昇)には政権がしっかりしていて、財政規律も守り投資に向く国であることを示す必要がある。この2大国の選挙結果と共通する通貨安という現象は、これを示しているだろう。
翻って日本だが、金利も上げられず財政規律にも不安がある。なにより、政権交代があるかもしれないとの不安もある。これで円安を止めようなどというのが無謀かもしれない。政治資金規正法改正ごときに拘泥せず、ちゃんとした金利政策・財政政策をやってほしいと思っているのですが・・・。
*1:インド総選挙、与党が単独過半数割れ-モディ氏は続投の意向表明 - Bloomberg