Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

政策金利と財政規律

 昨日、2つの国の通貨が安くなっていることを紹介した。ドルの独歩高かもしれないが、日本円の下落もひどい。直接的には、日米間の政策金利の差がありすぎて、誰でも金利の付く米ドルを、日本円を売って買う傾向からだ。しかし総合的には、日本円&日本経済への信頼が下落しているということ。

 

 円安が進行すれば、必然的に物価は上昇する。不況下の物価高という「スタグフレーション」に見舞われているといってもいいだろう。これは収入が少ない人の生活を直撃し、社会不安を増大させる。かといってポピュリズム政党のように放漫なバラマキ財政をやっていたら、増々負債が増えて庶民はばらまかれた以上の負担を(いずれ)することになる。

 

 自民党の中にも、財政規律派と積極財政派があって、激論が交わされているという。今回財政健全化推進本部が「低金利を前提にした財政運営はできない」と提言する一方、財政政策検討本部は「プライマリーバランスの25年度黒字化に固執するな」と言っている(*1)。

 

        

 

 僕としては、前者の意見に賛成だ。もう長期金利は1%あたりをうろついているし、日銀には早期に利上げをして、日米金利差を埋めてほしい。ただ金利3%になると、国債利払いは40兆円弱、毎年増える。国債の半分以上を日銀が持っているので、その分の金利は日銀から政府に還流してくる(*2)としても、500兆円ほどの金利約15兆円は実質(国民)負担増になる。これは、消費税で賄うなら5~6%UPを意味する。

 

 どうせ支持率向上の見込みのない岸田政権だが、任期はまだ残っている。ここは日銀の政策金利上げとともに、財政健全化に向けて消費税を含む増税の検討に入ってほしい。この手立てが遅くなればなるほど、トータルでの国民負担は増えてしまうのですから。

 

*1:自民党「低金利前提の財政運営なりたたず」 規律派が提言案 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

*2:高橋流「EBPMのススメ」 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)