今月マンハッタンで、大手医療保険会社のCEOが射殺されるという事件が起きた。早朝に待ち伏せされ、消音機付きの拳銃で撃たれたという。防犯カメラから容疑者のフード越しの顔まで分かっていて、翌日には容疑者が逮捕されている。
米保険会社CEOの射殺事件で関心高まる「企業幹部のセキュリティ対策」 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
この記事によると、医療保険系企業は恨みを買うケースが多く、報復テロに遭う危険性が高い業種である。にもかかわらず、CEOに警護はついていなかった。記事中に、ビッグテックCEOの「物理警備費用」がのっていたが、驚くべき金額である。
・Meta社ザッカーバーグCEO 2,000万ドル以上
・Alphabet社ピチャイCEO 680万ドル
・Apple社クックCEO 82万ドル

以前オバマ大統領の警護について、説明してもらったことがある(*1)。それほどの警護は必要ないにしても、リスクのあるCEOを護るために何が必要だったかを、企業は考え直し始めるだろう。
企業を顧客にするリスクコンサルタントは、発展途上国に支店など設け幹部を送り出すにあたって、オフィスの警備はもちろんのこと幹部の住居や専用車についても細かなアドバイスをした。その中に、
「運転手は現地の特殊部隊出身のゴツいのを選び、十分に武装させる」
というものがあった。ゲリラなどが出没する国では当然の措置である。今やマンハッタンも紛争当事国並みの「戦場」と化したのかもしれない。物理セキュリティとしては、殺害以外にも誘拐のことを考えないといけない。ランサムウェアの支払いに仮想通貨が用いられるが、これは物理誘拐にも使える。身代金受け取りが誘拐犯の最大リスクだったが、これが楽になったので誘拐も増えているはず。
日本国内ではさほどの警戒は必要ないかもしれませんが、CEOの海外出張時には物理セキュリティにも十分な配慮がいるようです。もちろん対策したスマホを使ってもらうなど、デジタルセキュリティもお忘れなく。