Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラメンテの現場、桜川市(3)

 掘削中のトンネルの先端まで行くという、滅多にない経験をさせてもらった。掘削面をコンクリートを吹き付けた「覆工」をしていても、地下水が噴き出してくる。ところどころ水溜まりもあって、圧力を感じていた。面白かったのだが、さすがにバスがトンネルを出るとほっとした。

 

 その後、いくつかの現場を見て回った。地形上は盆地のはずだが、かなり広い河口近くのような平地が続く。小さな河川や用水が方々にあり、細い道が入り組んでいる。国道、県道、市道までは舗装出来ていても、事実上私道のようなものも多く整備が難しい。年間800件ほどの要望があり、そのうち30~40件は本格的な修復が必要。それでも予算は充分ではない。

 

    

 

 案内された200mほどの非舗装道路、側溝もなく水があふれるので1,000万円ほどの予算で直したい。しかしその年予算がついた分だけしか直せないので、完成まで4年かかるという。

 

 修復にお金が足りないのは、小河川や用水に掛かる橋梁も同じ。国はチェックの結果老朽化のひどいものから修復するよう求めているのだが、地元からすると利用者の多いものを先回りして直し(予防保守)、寿命を延ばしたいと思っている。そこにギャップがあることが分かった。

 

    

 

 昼食は、肉料理のレストラン。5つあるメニューの中から予め選んだものを、事務局が連絡しておいてくれ、お店が準備してくれていた。僕が選んだのはハンバーグ定食、950円なり。座長の先生や副市長と同じテーブルに着いて、すぐに議論が始まった。

 

 座長の先生の主張は「全てを市役所などに任せるのではなく、民間組織で対応できるものを増やさないといけない」ということ。私道に近いものは「隣組」でなんとかすべきということだ。

 

 「かつて農家に余力があった時は、それができたんだけどね」

 

 というのが、誰からともなく出た言葉だった。

 

<続く>