Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラメンテの現場、桜川市(2)

 つくばエクスプレス研究学園駅から北上すること40分あまり、筑波山を右手に見る比較的広い盆地に出た。刈り取りの時期を迎えた水田が広がり、集落が点在している。途中JR水戸線の踏切を渡り、奇跡的に列車を見ることができた。目の前には大きな山塊(上曽峠)があり、この下を掘削工事が進んでいる。

 

 この峠には県道石岡・筑西線が通っているのだが、冬季は積雪も多く難所のひとつ。現在、石岡市側と桜川市側から片側2車線の県道用のトンネルを掘っているのだ。その桜川市側から、掘削最前線の現場を見せてもらう。

 

 バスが工事現場に近づくと、あたりに白いものが積み上げられている。それは掘り出した花崗岩の置き場である。「ここから現場です」と言われたとたん、舗装がなくなりバスが大きく揺れる。トンネルの入り口の脇には、大きなプラント。セメントを生成したり濁水を処理したり、現場に電力や風を送っている。

 

        

 

 5分ほどバスで進み、その後は靴を履き替えヘルメットをかぶって徒歩。掘削機の近くまで行って、説明を受けた。花崗岩100%の山をくりぬくため、

 

・ドリルで複数の穴をあけ、爆薬を入れて発破する。

・技術としては、爆発が中央に集まるように穴を円錐の一部としてあけること

・発破口を広げて、コンクリートで覆う(覆工)

 

 を繰り返す。そのすべてのデータをデジタル化して記録し、変化があれば発破方法を変える。記録は、何十年か後のメンテナンスにも使える。掘削、送風、コンクリート吹付などをトンネル外の設備含めて管理するデジタルシステムは、この企業が他社をリードしているが、データ自体は国内企業では互換性があるという。

 

    

 

 僕は「国際的な標準は?」と聞いた。意地悪く聞こえるが、何十年後だったら、メンテは中国企業がするかもしれないからだ。すると「国際的な互換性はないけれど、簡単な変換で使えるはず」との答えだった。

 

<続く>