Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

幻の川辺川ダム

 線状降水帯の停滞によって、熊本県や長野県の特定地域に大量の雨が降った。1週間で半年分の雨が降ったところもあるというから、並み大抵のことではない。特に球磨川流域は、僕の大好きな球磨焼酎の産地であり一度旅行してみたいと思っていたところだから、これ以上の被害が出ないことと一刻も早い復旧を望みたい。

 

 人吉市を流れる球磨川、ダムのない自然な渓流が売り物だと何かの観光ガイドで読んだことがある。ん、ダムがない?この言葉昔聞いた覚えがある。民主党が政権をとったばかりのころ、「コンクリートから人へ」というスローガンと「脱ダム宣言」が広く伝えられていた。

 

 僕は電力会社一家に育ったので、水力発電のためのダムは有益だと考えていた。ただ環境の専門家からは「自然エネルギーのように見えて、水力発電用ダムは自然破壊の最たるもの、原子力の方がよほどクリーン」と言われて困ったことがある。その後国交省の河川局長だった人から「多目的ダムという矛盾」を教えられて、その内容はご紹介したことがある。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/07/30/060000

 

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 発電だけでなく用水や治水にも使えると言って建設したので、豪雨が近づいてもカラにはできない運用だという。それも、一昨年の西日本豪雨以降見直しを始めたということだった。民主党政権と現職の蒲島熊本県知事のもとで中止と決まった川辺川ダムがあったら、ひょっとして今回の災害を防ぐことはできなかったかと思う。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020071100391&g=soc

 

 今回の豪雨災害で、川辺川ダムの議論が再燃することになるだろうが、上記の記事にあるように、蒲島知事は「県民の決断を尊重し、ダムに拠らない治水を極める」と言っている。西の川辺川ダム建設は中止になったが、同時期議論になった東の八ッ場ダムは完成している。昨年の台風19号に伴う豪雨で利根川が救われたのは、八ッ場ダムのおかげだという説もある。

 

 今回の「骨太の方針」の議論でも、国土強靭化の文言が弱いと公明党から注文が付いた。毎年日本のどこかで「100年に一度の災害」が起きそうな時代、コンクリートも重要な資源だと僕も思います。