Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国家運営が行き詰まったのでは?

 先週の国連総会、地元(!)のバイデン大統領や岸田総理、尹大統領はそれなりの存在感を示せたようだが、中露はもちろん英国・フランス・インドの首脳は参加を見送った。国連の存在価値低下を印象付けたのだが、各国には事情もあったようだ。

 

 特に英国、スナク首相は国連総会の期間に、国内問題で苦しい立場に追い込まれていた。それはネットゼロ(*1)目標の棚上げ、具体的にはガソリン車販売禁止を2035年としてきたが、この先送りを検討するということ。「ガソリン車かEV車か、選ぶのは消費者だ」というのだが、言い訳めいて聞こえる。

 

 自動車産業界からの圧力かと思ったのだが、産業界は「技術革新で次世代にと思っていたのに、裏切られた」とも反応していて、必ずしも業界圧力でもなさそうだ。うがって考えれば、開発を含むEV車環境整備の助成金を出せないほど政府財政が苦しいとも見える。

 

    

 

 兆候のひとつとして、英国第二の都市バーミンガム財政破綻した。直接的には「同一労働同一賃金」の原則を守らなかったとして公務員らから訴えられた複数の訴訟に敗れ、賠償金が払えなくなったということだ。しかし根本的には、保守党政権が同市(議会は労働党が強い)への支援を絞り続けたのが原因(*2)らしい。

 

 英国のGDPに占める政府支出は46%と、日本と同程度。自由経済色が強く37%に留まっている米国は例外としても、60%近いフランスやイタリアや、50%のドイツよりは低い。フランスなどは「手厚い重税国家」だが、英国はそこまでは成り切れていない。だが保守党は増税には拒否反応があって、前のトラス政権も、

 

・減税

国債発行

社会福祉削減

 

 を掲げて、あっという間に消え去った。もう国庫に余裕はなく、市民は25年以上続く支援不足の状態に倦んでいる。ひょっとして国家運営に行き詰まったのではないかと思わせる状況です。かの国よりずっと大きな対GDP債務を抱える日本も、大丈夫なのでしょうか?

 

*1:温室効果ガスの発生を実質ゼロとすること

*2:英国第2の都市バーミンガム、中央政府の管理下に-今月に財政破綻(Bloomberg) - Yahoo!ニュース