Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

継戦能力向上のための防衛費増

 緊張高まる国際環境を意識し、日米同盟強化の目的もあり、岸田首相はバイデン大統領に対し「防衛費の相当な増額」を約束した。これ自身には極端な(一部野党やメディアからの)糾弾は起きていない。ただ岸田政権の特徴であるあいまい戦略でその具体的な中身は不明のまま、参議院議員選挙に突入しようとしている。

 

 じゃあ「相当な増額」ってどの程度かというと、おおむね英国・フランス・ドイツらがその水準にある「GDP比2%」あたりと思われる。今の日本の状況では、10~11兆円ほどになる。これを巡って、いろいろな議論が出ている。例えば、自民党高市政調会長は、「10兆円規模、当面は国債負担、宇宙・サイバー・電磁波などの研究開発費増」と言い、ある記事では、増額5兆円は原子力空母3隻の建造費だ、いやF-35なら370機ほどだと正面装備の話を挙げている。

 

 対して、反対派は増額を決して認めないとか、社会福祉を削って戦争の道を行くのかと感情的な反発をしている。軍事評論家の田岡氏は、

 

防衛費の増額は本当に必要か? 「巨費を投じても効果は乏しい」専門家は否定的(1/2)〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)

 

 上記感情的な反対とは一線を画しながら反対の意向だ。

 

    

 

 ただ僕は舛添元都知事国際政治学者)がコメントした「ウクライナ紛争は新たな30年戦争の幕開け」が気になっている。ウクライナ紛争が長期化するだけではなく、中国やインド、中東も巻き込んだ「長い闘い」になるかもしれないという予感は、僕にもある。ならば、日本も長い戦争を戦える「継戦能力」の充実こそが求められる。それゆえの「経済安全保障推進法」なのではないか?

 

 グローバル化の流れに反して経済合理性に背を向けるのも、一部の産業ではやむを得ないかもしれない。しかしもっと焦眉の急は、自衛隊の継戦能力強化だ。

 

防衛費GDP比2%を目指すなら - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 にあるように、自衛隊の弾薬備蓄は充分ではない。訓練・整備のお金も足りない。今回の防衛費増額は、目立つ正面装備よりも現有戦力の兵站強化に使って欲しい。加えて自衛官の処遇(ありていに言えば年収)改善にも。

 

 サイバー分野、情報戦能力向上にも期待はしていますが、すぐ弾切れ、整備不良で稼動率低迷、訓練未了で戦力にならず・・・などという姿は見たくないので。