米国バイデン大統領は、初めてのアジア訪問、日本訪問、「QUAD」会合などをこなして帰国した。その中で「インド太平洋経済枠組み:IPEF」の立ち上げも行った。
米主導IPEF、13カ国で発足 経済安保で「脱中国」―日本も参加:時事ドットコム (jiji.com)
一体これは何なのだろう?少なくとも「軍事同盟」ではない。経済協定ならば、この地域にはすでに、
・地域的な包括経済連携協定(RCEP)
・環太平洋パートナーシップ協定(TPP)
があり、多くの加盟国が重なっている。さらに、デジタル面での連携を深化させる「デジタル経済パートナーシップ協定:DEPA」も動き始めている。RCEPに中国が入っているからけしからんというなら、米国はTPPに入り直せばいい。TPPはもともとシンガポールなど4カ国が提案していた協定に、米国(オバマ政権)が乗ってきて、いざ発効という時に、トランプ先生が離脱したもの。
TPPの米国にとってのネックは、関税問題にある。これは他の国でも同じだが、関税によって守られている国内産業は、TPP入りに反対する。日本でも「TPPは亡国協定、米国の陰謀だ」と騒いだ人たちもいる。
しかし「America First」のトランプ先生はTPP離脱で男を挙げ、今でもその人気は根強い。だから日米の会合でも日本政府、産業界が米国にTPP復帰を薦めるのだが、米国政府、産業界は「難しい」と俯いてしまう。
IPEFの連携内容はというと、
・公平で強靭性ある貿易
・サプライチェーンの強靭化
・インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー
・税、反腐敗
の4本柱。強靭化という言葉が2度出てきて、この13ヵ国間で、自国の「Economic Statecraft」が成り立つように必要なものを確保しましょうという目的が見えてくる。それがつまり、世界の工場でありながら専制的・強権的な政治体制にある中国を意識したもの、もっと言えば「中国包囲網」なのだろう。
先週ある業界団体の会議で、経産省の担当者に「IPEFでデジタル分野をどう扱っているか」を聞いたが、まだ言えませんとの答え。某TV局でサワリやってたよと誰かが言うと「あれは(困った)リークです」とのことだった。
僕が見るところ、IPEFは「デジタル連携協定」ですね。ならばDEPAに入ればいいのに・・・。いずれその理由もわかりますかね。