Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日米デジタル連携のUPDATE(前編)

 近年の日本政府、どの内閣でも「日米同盟は外交の基軸」というし、在米大使は「今の日米関係はかつてないほど強固」という。まあ後者はある大使OBによると「慣例句」だそうだが。

 

 その基軸が大きく揺らいだ時期が2度ある。最初は米ソ冷戦後、米国が崩壊したソ連より日本の経済力の方が脅威だと思ったころだ。これについては、今朝別ブログで紹介した手嶋龍一著「ニッポンFSXを撃て」に詳しい。もう一度は、両国が民主党政権だった時。鳩山総理がオバマ大統領に「Trust me!」と大口をたたいて、相互に不信感が膨らんだ時代である。

 

 その時両国政府は、なんとか連携できる分野はないかと模索した。デジタル分野なら連携が可能だと誰かが言い出し、産業界を巻き込んで日米デジタル対話を始めることにした。これが2010年からの「日米インターネットエコノミーに関する政策協力対話(日米IED)」である。僕はこの会合には発足当時から関わり、毎年どちらかの国で開催される会合に出席してきた。

 

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 日米の産業界は「世界的なインターネット経済の振興」が重要だとして、

 

・国境を渡るデータの確保

・サービス提供にあたり、自国内にサーバーを置くことを強制されないこと

・製品やサービス提供にあたり、ソースコード開示を強制されないこと

 

 の3点を主張し、実際に国境を越えるデータがサービスする国の企業にもサービスされる国の企業にも役立つ事例を20以上示した。その結果当時交渉中だったTPPに、上記3点を盛り込むことに成功した。

 

 その伝統ある会合も、10年以上になり日本政府側で司会役を務めてくれた総務省の局長たちも何代にもわたった。中には今年の「事件」で霞ヶ関を離れた人も少なくない。民間の方も、日米以外にも日欧・日独・日英など多くのデジタル国際連携会合があり、「COVID-19」禍もあって、全体として低調な感もあった。今回総務省から連絡があり、日米IEDをベースに新しい枠組みで仕切り直すことになったという。

 

 4月の菅・バイデン会談の共同声明に「グローバルデジタル連結性パートナーシップ:GDCP」立ち上げが盛り込まれたとのこと。そこで総務省からGDCPという新しい枠組みの内容について、聞くことにした。

 

<続く>