Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

DEPAは死んでなかった

 このところ中国の「自由貿易協定」への参加が加速しているように見える。先月TPP/CPTPPへの加盟申請を台湾に先んじて行ったのに加え、中国が主体となっているRCEPの発効が来年早々に起きる。そして今度は「デジタル経済パートナーシップ協定」への加盟申請だ。

 

中国 デジタル貿易協定DEPAに加盟申請: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 デジタル分野の貿易自由化という面では、TPPの「電子商取引」が先鞭をつけていて、

 

・国境を渡るデータの確保

・サーバーを自国内に置くことの強制を禁止

ソースコードを強制的に開示させることの禁止

 

 を申し合わせていた。RCEPはTPPを参照しながらも、中国の意向があって「ソースコード・・・」の項目は採用されなかった。RCEPも「国境を渡るデータの確保」は言っているのに、中国の現状はデータを国内に囲い込もうとする露骨な動きがある。「滴滴」が海外上場したのに怒ってサービスに制約を掛けたのは、国内の移動データが海外の投資家に見られるのを嫌ったからと思われる。

 

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 では、DEPAはどうか?この記事にあるように、TPPの「いいだしっぺの国」であるチリ・ニュージーランドシンガポールの三ヵ国が議論を始めている協定で、特徴は国境を渡るデータの標準化が盛り込まれていることだ。何度か申しあげているように、データ活用のカベは4つある。

 

1)アクセスできること

2)フォーマットやID体系などが標準化されていて直ぐに仕えること

3)ビジネスモデルとして成り立つ(儲かる)こと

4)社会的に容認される(炎上しない)こと

 

 TPPは最初のステップはクリアしている。次に僕らが目指すのはデータの標準化だ。それをDEPAは検討していると聞いて期待もし、日本政府にも加盟を検討して欲しいと頼んでいた。しかしTPPやRCEPの議論に隠れて、このところDEPAの報道がなく、どうなっているのか心配していた。皮肉なことだが、データ囲い込みの筆頭のような中国がDEPAに加盟申請をしたことで、その生存が確認できた。

 

 データに関しての習大人の執着は凄くて、国際連携協定での第二ステップまで進出してきたわけ。第三ステップは民間が主役なので、政府はまず第二ステップまでして欲しい。そこを習大人は分かっているようだ。改めて、日本政府にもDEPA加盟を検討してもらいたいですね。