Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラメンテナンスの現場(2)

 まず鈴鹿市さんから、概況の説明を受けた。三重県東北部に位置する市で、人口は約20万人。高速道路として、新名神自動車道・伊勢自動車道があり、国道1号および23号が市街地を走っている。市の管轄としての道路は総延長242kmほどある。

 

 路面の状態を計る指数にMaintenance Control Index:MCIというものがあり、これが4以下だと修繕が必要、3以下だと早急に修繕が必要となる。現在、4以下が総延長の4割弱、3以下は2割弱だという。これらの数値は5年前に比べて、6~7割増えている。途中まで補修が済んだという道を実際にマイクロバスで通ったが、未補修の部分では確かに乗り心地が悪い。

 

 一方、舗装修繕にかける市の費用(予算)は、2007年の3.5億円をピークに減り続けて、2017年には0.5億円まで落ち込んだ。今は1.9億円まで増やしているが、全く足りないので国からの補助を1.6億円受けて賄っている。

 

 費用の合計としてはピーク時まで回復しているのだが、同じ金額で改修できる道路の長さは1/3ほどしかない。これは工事単価の上昇や、幅員の広い道路が対象になったこと、工法が複雑化(ある意味強化)されたからではなかろうか。

 

    

 

 公共事業なので、基本は入札で事業者を選ぶ。ただ小規模な修繕については、手間のかかる入札ではなく地元事業者複数のジョイント・ベンチャーを作って「包括委託」をすることもあるという。市道のメインストリートの大規模補修のようなものは対象ではなく、下記のような作業をしてもらうのに「地域維持型維持修繕業務委託」と称している。

 

・雪氷対策業務(凍結防止剤設置や散布)

・小動物死骸処理業務

・橋梁補修業務

・道路除草業務

・小規模舗装修繕業務

 

 時節柄雪はないので、舗装修繕業務の完了した現場を見せてもらったが、素人には通常の修繕との違いは見分けられない。こういう努力によって、コストを削減しているわけだ。ただ公共事業の発注に詳しい専門家からは「単価契約で効率はいいが、限度額130万円/件、総額上限3,000万円では対象が限られる」との指摘があった。ある種の規制緩和が必要ということらしい。

 

 またコスト削減効果にしても「市民に見える形での数値化ができていない」との指摘もあった。行政の生真面目さが出て、アピールが下手だということだ。

 

<続く>