Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

路面計測業務への新技術導入

 先日「インフラ維持管理における新技術導入の手引き」をご紹介したのだが、その中に事例として記載されていた「路面性状を簡易に把握可能な新技術」について、内容を聞くことができた。

 

 道路の路面が痛んで、ひび割れができたり凹みができることはよくある。これを放置すると場合によっては事故につながるかもしれないので、何らかの補修が必要だ。補修の前にまずは点検しないといけないのだが、日常の点検作業にも人手やコストがかかるのが道路管理者の悩み。

 

 技術者を常時抱え、資金にも余裕がある道路管理者(例:国)ならいいが、県や市町村が管理者だと、十分な点検もできないことがあるのが現状である。今日聞いた例は、そのような悩みを「新技術:スマホ」を使って解決しようとした話。

 

 路面舗装の痛みを計測する指標は、1981年に旧建設省が定めた「Maintenance Control Index:MCI」というものがある。平坦性・わだち掘れ量・ひび割れ率を計測するもので、専用車両を用いて技術者が路面をセンスする。指標はもう一つあって1986年から世界銀行が提唱している「International Roughness Index:IRI」。乗りごこち指数と言うべきもので、平坦性とは相関関係がある(要は似ていて代用できる)。

 

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 平坦でなければわだち掘れ量やひび割れ率も高いだろうから、一次スクリニングとしてIRIだけ計測し、数値の良くないところは再点検したり補修すればいい。IRIならば、専用車両のセンサーを使わなくても計測できるというのが発想だった。一般車両にスマートフォンを持って乗り、スマホの角速度計・加速度計・GPS値を記録していく。そのデジタルデータをDB化して、技術者が判断すればいい。

 

 計測のための出動でなくても、その他公務で関係者は地域を走り回るから、そのついでにデータも集められる。レーザースキャナやCCDカメラ、GPSなど積んだ専用の車両をその目的のためにだけ出動させるのに比べ、利便性が上がりコストが下がったという報告だった。

 

 加えて管理部門に余力がでたのだろう、それまで補修に追いまくられ感があったのが、予防保守に目を向けることができるようになり、さらに余裕を産めたようだ。誰もが持っているスマホ(新技術)を使った事例、多くの街で使えるようになるといいですね。