今回僕が参加させてもらった「インフラメンテナンスの現場を見るツアー」、国交省でこの種の議論をしている、大学教授・建設コンサルタント・経済学者など8名の専門家と、国交省の担当官、サポート役の民間コンサル企業が東京からやってきた。迎えてくれたのは、主な場所を提供してくれる鈴鹿市役所、亀山市役所、三重県と地場の事業者の皆さんである。
社会インフラといっても種類は多いが、かなりの部分は民間運営されている。まあ、再び国営化に傾斜している分野もあるが、
・電力 全国10電力会社&自由化後に参入した企業
・通信 NTT、KDDIに携帯電話サービス各社やネット企業
・鉄道 国交省認可の鉄道、バス等公共交通企業
・金融 金融庁認可の銀行、証券会社、保険会社等、ゆうちょ銀行・かんぽ生命もある
らが担っている。必要なインフラ設備は、基本的にこれらの企業が整備・維持する。しかし国・県・市町村が担っているインフラも多い。例えば道路は、高速道路会社が担う部分、国道、県道、市町村道全体で、日本中のネットワークを形成している。他に河川や水道も国・自治体が管理しているわけで、国交省の中で予算規模が大きいのは、道路局と河川局だという。
比較的潤沢な資源を持っている国に比べて、市町村、特に小規模な自治体はインフラ維持に苦労している。その問題点を議論し、対策を探るのがこの審議会の人達のミッションである。霞ヶ関での議論だけでは限界もあるので、今回このような機会を設けてもらえたわけだ。地方の現場としての問題点を挙げると、
・高度成長期に作った多くのインフラが50年以上経過し、老朽化している
・しかし維持に関する予算も増えていないし、削減されることもある
・自治体の職員も増えておらず、特に技術者の確保が難しい
・作業を委託する業者も零細規模のものが多く、経営者も作業者も高齢化している
のようなことだ。僕の立場からすると、デジタル化の遅れが気になる分野だ。自治体も委託業者も土木技術者に困っているくらいだから、デジタルの技術者はほとんどいない。新しい何かには予算が付きにくいし、予算化を考える首長も多いとは言えない。現場の人達から、インフラ分野のDXのヒントを貰えれば・・・と思っていた。
<続く>