Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

虎は死して皮を残す・・・

 参議院議員選挙が終わった。投票日まであと2日と言う時に、街頭演説をしていた安倍元総理が、手製の銃で撃たれて死亡するという重大事件があった。歴代最長の首相在位期間、最年少での首相就任、民主党からの政権奪取、「アベノミクス」による経済振興、積極的な全方位外交など、エピソードの尽きない政治家だった。

 

 その一方で「右寄りすぎる」との批判もあったし、数々のスキャンダルもあった。この書などは「安倍内閣は数十年ぶりに誕生した、非売国的な内閣」と、褒めているのか褒め殺しているのか分からない表現をしていた。

 

なるほど右翼はこう考えるのね - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 政治家としては、日本史に残る派手な退場の仕方だったのだが、各国の反応が一様に安倍元総理の功績をたたえ、死を悼む論調だったのが印象に残った。事実上の戦争中である、ロシアのプーチン大統領ウクライナのゼレンスキー大統領がそろって哀悼の意を表した。米国では、現職のバイデン大統領はもちろん、オバマ・トランプ両元大統領も口をそろえた。中国の報道官のみが「驚愕している」と言うにとどめたが、欧州各国はもちろん、台湾・インド・ブラジルなどからも追悼の辞がもたらされた。

 

        

 

 国内でも、与党はもちろん、普段は口をそろえて「安倍批判、自民党批判」をしていた各党党首が「言論を封殺する暴力は許せない」とし、死亡が確認されてからは「影響力のある政治家だった。立場や求めるものは違っていたが」と安倍元総理を讃える発言をしている。

 

 ただ国政選挙まで中一日というタイミングが微妙で、各党広報戦術には苦慮しただろう。自民党としても「元総理の弔い合戦」という旗を出すには、早すぎるタイミング。かといって、事態の鎮静化を待っていては選挙当日になってしまう。

 

 野党側も同じ。いつまでも「安倍さん、偉かった」と言っていてるわけにもいかない。立憲民主党の小沢議員が「自民党がおごり高ぶった結果」と言ったと伝えられると、批判が殺到した。れいわ新選組の山本代表も、事件当日に「長期政権ができたことはすごい」と言いながら「決めたのは多くの人の首を絞める内容」だったと批判も始めている。

 

 俗に「虎は死して皮を残す」という。政治家、というより人は名を残すのが栄誉。とりあえず、同い年の元総理に合掌します。