Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

改めて、対中国投資への警報

 2ヵ月ほど前、付き合いのある証券会社から「中国ファンドのいいのが出ました」と勧められた。「国進民退」の動きが顕著だし最初は渋っていたのだが、デジタル産業ではないファンドで、1年くらいで売り抜けるならいいかと考えて、ある生活分野のファンドを少し買った。これが僕の中国市場を測るセンサーというわけ。

 

 先週「対中投資促進」を目指すセミナーがあって、日本人の専門家2人に「デジタル産業叩きをしているのに、対中投資大丈夫?」と聞いたのだが、「一部の産業のこと。今対中投資しないでどこにするの」と蹴り飛ばされてしまった。

 

対中投資促進の議論 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 ただやはり成長産業を中心とした株価下落の懸念は大きくて、ついに著名な投資家ソロス氏が、かなり強い口調で「警鐘」を鳴らした。

 

ジョージ・ソロス「習近平の中国に投資をする者は、ある日突然痛い目に遭うことになる」(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース

 

 この記事に書いてあること全てを鵜呑みにはしないし、数ある「中国崩壊論」にも与しないけれど、僕はやっぱり世界市場における「China Risk」は厳然として存在していると思う。

 

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 この記事は膨大な個人情報を抱えている「バイトダンス」の株式を中国政府が買ったのは、データを抑えたいからだという。ただ「国家情報法」で中国企業のデータは政府が自由に見ることができるのだから、この理屈はちょっと違う。僕はいくつか別の可能性があると思う。

 

・デジタル産業叩きをして株価が下がるのは織り込み済み、後で買い支えた。

・株価が下がったところで買いを入れ、後に戻したところで売り抜けるため。

 

 というのもあるし、共産党幹部でこれらの株式で儲けている連中に冷や水を浴びせ、私利私欲に走るなと警告したのかもしれない。浙江省江沢民に近い人たちの資産は、これらのデジタル産業株だという噂もある。習大人はその勢力を弱めることも、今回の目的のひとつだったとも言える。

 

 この記事に言うように「習大人は市場がわかっていない」というよりは、分かっていても目的のためにはやらざるを得なかった公算の方が高いだろう。目的は「共同富裕」を掲げたポピュリズム的格差縮小だけなのか、政敵をけん制することも入っているのか。それこそ、専門家に教えて欲しいものです。