先々週「対中投資促進」を訴える専門家2人の話、先週ソロス氏ら大物投資家の「対中投資への警告」をご紹介した。リスクは顕在化しつつあるが、他よりは投資対象として魅力はあるという説もあるし、デジタル産業いじめなどして「金の卵を産むガチョウを殺している」との批判もある。
今メディアの注目を集めているのが、不動産開発大手「恒大集団」の動向。かつては中国最大の販売実績を誇っていたというが、今は2兆元近い負債に苦しみ、経営破綻か管理された精算かがとりざたされている。
焦点:崖っぷちの中国恒大集団、待ち受ける幾つかの危機シナリオ | Reuters
債権者はもちろんだが、従業員の中には自社株を大量に保有している人もいるようで「カネかえせ」の声がこだましていると、この記事は言う。なんとなく「エンロン」の、自社株買いを従業員に強引に薦め破綻して多くの従業員を泣かせた事件をほうふつとさせる。恒大集団の始末の仕方によっては「リーマンショック」級の経済危機がくるという専門家もいる。
これからの中国は、いろいろな意味で目が離せないのだが、日本での報道にはバイアスがかかっているのも事実。ずいぶん前から「中国崩壊」という記事は出ているが、現実にはなっていない。今回、2年の中国勤務を終えて戻ってきた人に、まさに今の状況を聞いてみた。
・スマホで自転車を借り通勤していた。あらゆるサービスがデジタル化され、個人の行動履歴をコアにしたビジネスが急伸している。
・QRコード決済の普及で、街には自販機が溢れている。ワインボトルさえ買える。かつては自販機ドロが多かったが、いまは自販機に現金はなく、運営側も楽になった。
・外部から見ると「強権体制」のように見えるが、市民は政権を信頼しているし、政権がもたらした繁栄に満足している。
彼は「文化大革命の再来という(日本での)報道もあるが、そんな失敗を繰り返すほど愚かな政権ではない。社会システムは良く考えられていて、日本のネガティブ報道と現地事情はちょっと違う」と言っていた。確かに都市部ではそうだろうけれど、やはり気になることも多く、もっと多くの人の意見を聞けたらと思います。