Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

米中両国、内政が問題の秋

 初めての習大人とバイデン大統領のリアル会談が、企画・調整されているらしい。両国とも内政に大きな問題を抱えていて、どちらもリセッションの崖っぷちにいる。今や対立している場合ではないのは双方とも認めながら、矛をひくことができない。

 

 まず米国だが、記録的なインフレが続き、四半期GDPが2期連続マイナスになった。FRBはこれも記録的な0.75%の利上げを2回連続で行ったが、インフレ抑制の前に景気減速がくるのではと危惧される。景気後退中のインフレという最悪の事態(スタグフレーション)になりそうで、市民の不満は爆発しそうだ。秋の中間選挙では、与党民主党の敗北が決定的になりつつある。皮肉なことに株式市場だけは「もうこれ以上金利を上げられないだろう」と、株価が上昇している。一方でドル高も転換しそうだ。

 

        

 

 次に中国、恒大グループなど不動産産業の窮状で、完成しなかったマンションのローンを払わされている市民が多数出ている。銀行の取り付け騒ぎもあり、教育・IT市場への圧力もあってGDP成長は2%程度(それも粉飾だろうが)に低下する見通し。慌てて政権内の争いを汚職撲滅に見せかけようとしているが、秋の党大会で習大人の3期目がすんなり決まるかどうかは不透明だ。

 

 両大国が内政に注力しなくてはいけないのを見越して、世界のいろんなヤカラが勝手なことをし始めている。ミャンマー政治犯処刑など、その典型例だ。もちろんロシアもウクライナも、停戦には向かうまい。食糧やエネルギーを巡る対立も深まるだろう。

 

 国レベルでなくても、犯罪集団にも機会が到来している。サイバー空間での悪事を働く環境は整っているし、取り締まる側は連携が不十分だ。獲物たる個人や企業も、パンデミックや景気後退などに気を取られている。

 

 そんな中おきた、米国ペロシ下院議長の強行訪台。さて、どんなハレーションが起きますかね。