今月「防災の日」にあたり、せっかく積まれた公共事業費が毎年使いきれないとの記事を紹介した。昨年は「COVID-19」禍もあったのか、とうとう当初予算の8割が積み残されることになった。土木作業自体の人手不足、自治体の技術者不足などがネックとなっていると思う。
公共事業予算が使いきれない - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
だから土木作業に拠らない別の分野の技術を使ってこれを補完したり、場合によっては代替えしてしまうことはできないかと思っていた。すると国交省の知り合いから「インフラ保守のために、新技術導入の手引きを作って3月に公開しました」との連絡があった。「インフラ維持管理における新技術導入の手引き(案)~新技術導入は難しくない~」がそれ。
shingijutsu_tebiki.pdf (mlit.go.jp)
この資料は、職人の目や手、経験に頼っているインフラ維持管理業務について、デジタル化を中心とした新技術を導入するために、自治体担当者が読んで分かりやすくこれを理解できるよう編纂されたものである。目的として、
・新技術の導入を加速し、横断的な展開を促進する。
・技術力に自信のない自治体でも、新技術を導入していけるようにする。
が挙げられていた。横断的な展開と自信のない自治体という2点がポイント。熱心な首長や優秀な技術者、予算措置に巧みな人、出入り業者をマネージできる力のある自治体は、新技術を活用して良くなっていく。一方でそういう環境に恵まれない自治体は、技術者不足・予算不足・業者の専横に苦しめられ、市民の満足度も下がってしまう。個人だけでなく法人も、他に移って行ってしまうかもしれない。
だからこの「手引き」では、新技術を恐れないように導入のステップを5段階に刻んで、一歩一歩進められるよう工夫されている。加えて7つの自治体での先行事例が紹介されている。その中にわが静岡県のものが2つあった。
◆静岡県:3D活用技術の(企業・大学との)共同開発
◆静岡市:衛星SAR、レーザー打音点検の現場試行
だった。これらの事例については、直接効果(数値)を知りたいという意見もあったが、ある識者は「新技術は短期的なコスト縮減だけを目標にすべきではない。中長期的に社会価値を高める投資と考えよ」と仰る。胸に響く言葉でしたね。