Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ハドリアヌスの長城、再び?

 2016年の国民投票で「離脱」という民意が示された時から危惧されていたことだが、英国(グレートブリテン北アイルランド連合王国)の分解が始まっている。スコットランドの総選挙で、独立派が過半数を占め「独立するかしないかではなく、いつするかの問題になった」と言われる。

 

コロナ対応で勝利「スコットランド独立派」に待ち受ける難題 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 

 北アイルランド(英国の一部)とアイルランド欧州連合加盟国)の問題もあるが、スコットランド独立も以前からくすぶっていた話。キャメロン政権末期の2015年の総選挙では、スコットランド独立党は4.7%の得票率ながら、56議席を占めて存在感を示している。比例代表ナシの小選挙区制で、二大政党(保守党・労働党)以外の政党は得票率が上がってもなかなか議席を得られない。

 

民意を汲むことの難しさ - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

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 例えばこの時の選挙で、EUからの分離独立を掲げて戦ったファラージ党首の英国独立党は、スコットランド独立党の3倍近い12.7%の得票を得ながら1議席に留まっている。全土に幅広く支持を得ても、局地的に強くないと議席は得られないのだ。このシステムはうまく民意が汲めなくなってきていて、英国政府は国民投票という例外措置に頼るようになったとこの書にある。

 

 さて視野に入ってきたスコットランド独立だが、上記の記事にあるように前途にはいくつもの難題が立ちはだかっている。

 

・独立して経済的に自立できるか?北海油田の権益だけで食えるか?

EUに加盟しても貿易量はイングランドの方が多い、関税や規則対応で負荷?

・通貨はポンドからユーロへ、漁業権などの帰属は?

 

 アイルランド北アイルランド間よりはるかに長い国境線と複雑な道路網、そこにハドリアヌスの長城を築くのは時代錯誤だとこの記事にもある。

 

 さらに僕が気になるのは、英国が核保有国だということ。ソ連解体の時、ウクライナにはロシアに次ぐ核兵器戦略核1,500発以上)があった。これはロシアに引き取られたり廃棄されたが、そうでなければ「核拡散」が起きていた。軍事力の配分次第なのだが、ひょっとすると新しい核兵器保有国ができてしまうかもしれない。

 

 国際社会としては、こんな点にも留意をして動向を見極める必要がありますよね。