Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

不毛な努力と言わないで

 英国のアジアへの傾斜が、昨年あたりから急になってきた。顕著な動きとして、

 

・空母「クイーン・エリザベス」の極東派遣

英米豪で、新たな安全保障の枠組み

・CPTPPへの加盟申請

 

 があって、軍事・経済両面で「自由で開かれたインド太平洋」という戦略に積極参加してきている。中国包囲網の強力な一員になるのだが、対中国の強硬姿勢を呼んだのは中国の香港支配だったと思う。まだ「一国二制度」が続いていたはずなのに、自由都市香港を踏みにじられたことへの怒りが大きい。また「Brexit」という理由もある。欧州大陸との距離が離れるので、アジアへの傾斜を強めたと思われる。

 

 「Brexit」の余波で、北アイルランドスコットランド、果てはウェールズまで独立の気配があるのだが、一方で欧州委員会の縛りからは解放されるようになる。今回英国でGDPR見直しの動きがあるとの記事があった。

 

欧州のGDPRから距離を置きたがる英国政府の「不毛な努力」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 

 個人情報保護は当然必要で、1980年ころにOECDガイドラインを出したのに始り、各国で法整備が進んだ。やや遅れたAPECでも、2004年には原則を発表している。背景には、急速なデジタル化の流れがあったことはご存じの通りである。

 

        f:id:nicky-akira:20210919092052j:plain

 

 最も先鋭的な保護法を作って運用しているのが、欧州委員会GDPRは非常に厳しい規則を個人情報を扱う企業等に課していて、違反には最大200万ユーロか全世界売上げの4%の罰金が降ってくる。

 

 この記事によれば、英国政府は「COVID-19」感染拡大対策などで、個人情報のより有効な活用のためにGDPRとは距離を置いた「常識に基づいた新しいシステム」を提案するという。僕自身は個人情報の「公益利用」はもっとするべきだと思っているから、この考えには賛同したい。記事の見出しにあるように「不毛な努力」ではないと思う。

 

EUと日本はEPAを結んでいて、日本企業はGDPRを遵守している。これによって企業活動が制約されている面もあるように思う。ルールメイキングでは定評あるのが英国政府、個人情報保護の原理主義者のような欧州委員会(特にDG-Justis)に対して、現実的な解を出してくれることを期待したいですね。