Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

民で出来ることは民で

 小泉・竹中改革の大きな目標のひとつは、「民で出来ることは民で」だった。徐々に大きな政府になってきていた日本、与党たる自由民主党の党是は本来「小さな政府」だったはずだ。ある意味ポピュリズムとも言える公共の福祉拡大が続き、政府は大きくなってしまっていたのだ。

 

 公共部門は倒産しない。赤字になれば税金で補填されるし、よほどのことがないと賃金カットや休業・解雇などという事はあり得ない。それゆえ経営が甘くなり、業務を改善しようというモチベーションもわかない。しかし公共(!)サービスは止められないので、非効率でも赤字でも事業は続いていく。

 

 このため公共部門には見える/見えないは別にして、負債が溜まっていた。これを賄う手段は増税による国民へのしわよせしか考えられなかった。そこに小泉・竹中改革は「民営化」という別の対策を提案したわけだ。

 

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 昔陸軍、今総務(郵政)省と言われた「抵抗勢力」を受けて、小泉総理は「郵政民営化ができなくて何が改革か」と衆議院解散に打って出て圧勝した。そして彼の悲願「郵政民営化」は成った。そしてそれと同時に、こちらは国交省の「牙城」であった「道路公団民営化」も進んだ。

 

道路公団民営化委員会 - Cyber NINJA Archives (hatenadiary.com)

 

 僕自身もその端っこには関わり、改革の中心となった猪瀬元都知事の話を持ち出して国交省幹部に睨みつけられたこともある。その後どうなったのかは聞いたことが無かったが、この記事を見て「もう16年も経ったのか」と思うと同時に「少なくとも公団がもっている負債が徐々に返済されている」と知って安堵した。

 

あの大騒動から16年… 道路公団を民営化した功と罪 - 自動車情報誌「ベストカー」 (bestcarweb.jp)

 

 もちろん功罪両面があって、かつて「いずれ高速道路は無料になります」という口約束は守られていないし、今後もメンテナンスにかかる費用負担をどうするかの問題も残っている。ただこの16年間官営のままだったら、負債の額はどうなっていたろう?

 

 一方もう一つの「郵政民営化」だが、問題は解消どころか拡大していて再国営化という噂も聞こえてくる。1985年に民営化された電電公社(現NTT)にも、政府の関与が強まっている印象がある。

 

 少なくともひとつ「民で出来ることは民で」の正しさが証明されたのは、歓迎すべきことでしょう。