欧米ほどではないが日本でも物価高騰の傾向はあり、その結果消費税収が伸びている。これに加え、グローバル企業をはじめとする業績好調な企業からの法人税収入も伸びて、2025年度のプライマリーバランス(PB)黒字化が達成(*1)できそうだ。
PBというのは、ある意味特殊な指標。21世紀になって、小泉・竹中改革の時に財政規律を守る指標として注目されるようになった。経済学者竹中教授の提言だったと思うが、定かではない。意味は「社会保障や公共事業など政策経費を、その年の税収で賄えているかどうか」であって、国債利払いなどは考慮されていない。
つまりゼロ金利の異常状態なら政府が赤字かどうかを判別できるのだが、金利があればその意味合いは薄くなる。PB黒字化予想については、おおむね3種類の意見がある。
1)財政健全化のステップとして歓迎、ただし金利上昇を受けて一段の政府支出削減(もしくは増税)を求める
2)国債の膨張に歯止めがかかるのはよい、ただ金利が上がってもこの指標を中心に考え、福祉切り捨てなどは許さない
3)市民生活は窮乏しているときに「骨太方針」にPB黒字化を盛り込んだことが問題、税増収ならそれを市民に還元すべき
僕自身は1)の意見である。官民ファンドの運営がずさんで巨額損失が出ているケースが散見(*2)されるし、税金の無駄遣いを防ぐためにEBPMを活用せよとの意見(*3)もある。まだまだ歳出削減は可能だ。
PB黒字化で満足せず、もちろん増税など考えず、小さな政府を目指していただきたい。自民党総裁選では、そんな議論が期待できますかね?
*1:25年度に財政「黒字化」 政府試算、8000億円―岸田首相、歳出改革の継続強調:時事ドットコム (jiji.com)
*2:損失発生のおそれの官民ファンド、原因の適時報告や方針見直しを…出資者の財務省に財政審要請 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
*3:「なんでこんな無駄な政策が?」誰もが不思議に思う現状を変える「EBPM」エビデンスから検証してみたら | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌] (smart-flash.jp)