Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国家安全維持法のSNS適用

 昨年の国際情勢における大きな話題のひとつが香港問題、「一国二制度」が完全に消え去り香港は中国の一部と化した。例えば「国家安全維持法」の施行によって、自由な意見を発することも難しくなった。過去のデモを主導したとして、民主化のリーダーたちや、関連機関誌の編集者も逮捕されている。

 

 先日SNSの影響力についてコメントして、中国国内のSNS管理はどうなっているか見えにくいと言った。それが香港で起きた事態によって、微かに見えるようになった。「国家安全維持法」が、SNSに対して適用されたのだ。

 

香港 国家安全維持法の規定を初適用 サイトへの接続遮断 | 香港 抗議活動 | NHKニュース

 

 香港のインターネット接続業者「香港寛頻」は、民主化弾圧に対する抗議活動を行う人たちが利用するサイト(HKクロニクルズ)への接続を、同法の規定に基づいて切断したと記事にある。政府にとって都合の悪いサイトは、このようにして閉鎖に追い込まれていくのだろう。すでに紙ベースの機関誌も廃刊させられているわけだから、このようにして民主化運動に加わる人たちに情報を与えない、それどころか本人への直接的な危害も加えられるかもしれない。

 

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 新年になってから同法を理由に逮捕された人たちは、昨年1年間の逮捕者を上回るようになっているし、その中には米国の弁護士など外国人も含まれている。民主化運動への取り締まりは、今後も強化されるだろう。

 

 加えて危惧されるのは、習政権に都合のいい情報を流すSNSの構築や拡大。そしてそれに後押しされて、香港行政を取り仕切る人たちの動向だ。この記事が伝えるところでは、香港に親中派の新党が結成され四川省出身の李山氏が党首になっている。李山氏が次期香港長官に就任するのではとの懸念がある。

 

【中国ウォッチ】次の香港長官は本土出身者? 謎の親中派新党結成で臆測:時事ドットコム (jiji.com)

 

 こうして着々と進む香港の「本土同化」だが、国際金融都市としての機能が維持できないのではないかとも思われる。金融ビジネスを支えている人たちは、基本的には規制を嫌う。香港市場に自由が無くなれば、そこを去る決断をすることもあろう。彼らは自由世界のSNSを使って情報交換をするかもしれない。少なくとも香港当局は、その傍受くらいはするでしょうね。気を付けないと・・・。