Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

まだ「試行中」ですから・・・

 このところ、音声SNS「Clubhouse」の話題が多い。招待制で「Room」と呼ばれる場を作り、音声で意見交換するというもの。昨年登場するや、かなりの速度で広まっているという。先日も平井IT担当大臣が「手探りなところはあるがやってみたい」とアカウントを作成して、自らの懇談会を開いたとある。

 

 現在「テレワーク下」なので、僕もビデオ会議は頻繁にある。今は、

 

・Zoom

・Teams

・Webex

 

 などを使っているのだが、ちょっとした打ち合わせやセミナーを携帯電話でより簡単にできるというのが「Clubhouse」の当初の目的と聞いた。ところが普通のSNSだと炎上するかもしれない人たちにとって、録音録画禁止・その場限りという性格は非常に都合のいいものだったらしく、利用者は急増した。

 

 しかしこれには落とし穴があって、運営側は意見交換の内容を録音していることが、今回明らかになった。いや、明らかになったというより、今まで見落とされていたことが示されただけなのだが。英語の細かな規約を読んでいくと「一時的に録音しています」と書いてあるらしい。

 

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SNSのクラブハウス「運営側は録音」個人データ保護に不安: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 この記事は「Clubhouse」の運営に当たり個人情報の取り扱いが不透明で、ユーザーに十分な説明をし同意を得ているわけではないと、GDPR違反の恐れがあると伝えている。このSNSが米国でどのくらい使われているか、欧州ではどうなのか全く分からないのだが、日本でこれだけのインパクトがあるのだから欧米でどういう議論になっているのか知りたいと思う。

 

 欧州のGDPRが個人情報取り扱いに厳格な規定を設けていることは周知の通りだが、米国だってデジタル先進州(例:カリフォルニア)ではGDPRに近い規定の州法がある。違反した事業者には重い罰則が下される。

 

 もうひとつ、中国ではどうかと言うと、こちらは当局が禁止するのではとの観測がある。通常のSNSと違い(まだ)監視されていない場なので、共産党政権に批判的な人たちが集まると当局は見ているようだ。

 

 中国の利用者も「録音ナシ」と安心していたら、運営側から当局に録音が流れる・・・なんてことにもなりかねませんね。例の「国家情報法」がありますし。運営側はこれが「試行中」だと言いたいかもしれませんが、その理屈は通らないでしょう。