英国で検出された「COVID-19」の突然変異種については、まだ情報が少ない。19日、ジョンソン首相が20日の午前零時をもってロンドンを封鎖すると発表したのも、この突然変異種が危険で猛威を振るい始めていると認識したからだ。感染力が従来のものと比べて1.7倍強い。これは感染拡大防止の目安となる「再生産数」を0.4押し上げる能力を持っているということ。感染拡大防止のためには、従来なら0.6程度にこの数値を抑え込む処置を採って、ようやく感染拡大が止まる(感染者が減るわけではない)ことになる。そんな措置が採れるのなら、とっくに英国は「COVID-19」を克服できている。
開発中のワクチンが効かなくなるとか、重症化率・死亡率が増すという報告はないのだが、マイクル・クライトンの「アンドロメダ病原体」のような幸運な突然変異体ではないようだ。そこで欧州各国は英国との航空便を止めたり、英国からの旅行者等の入国禁止措置を採り始めた。新しい危機だと、世界の株式市場も下がってきている。
そんな中、封鎖直前のロンドンから19日の午後から夜の長距離列車で、大勢の人たちが出発したという報道があった。封鎖前に脱出しようということだろう。もともとクリスマス休暇で旅行計画を立てていた人が多かったせいもあろうが、これで英国発の「強感染性突然変異種」が、世界にバラまかれることになったのかもしれない。
封鎖前夜、ロンドン脱出 英、Xマス前に大混乱―新型コロナ:時事ドットコム (jiji.com)
この記事によると、脱出した人自身が「合法ながらも愚かで無責任な行動をした」と反省の弁を述べている。より早くロンドンを封鎖しなかったジョンソン首相に、非難の声も上がっている。そうしていたら、この脱出は違法で取り締まりも可能だった。
翻って日本の状況だが、新型コロナ特措法を(人権制限をする)強制力を持った形に改正しようという動きが、与党の中に出てきた。公明党は多分反対、立憲民主党などの野党も(維新の会を除いて)反対すると思われる。今回の英国の事案は、強制力を持った法規制を持った国でもこのような非難されることを示した。
このような強感染性の突然変異種が日本に発生しなかったことで安心せず、ちゃんと国会で議論をして特措法改正してくださいね。世界からの信用が掛かっていますよ。