2年ほど前に世界で流行した感染症<エムポックス>。いわゆるサル痘で全身に膿疱ができ、肺炎や脳炎を引き起こし死に至ることもある。感染動物にかまれたり、ヒトヒト間でも接触や体液を媒介して感染する。これも他のウイルス感染症同様、変異株がいつ発生するか分からない。この夏、コンゴで重症化し死亡率が5%ほどに高まったものが確認された。
WHOは緊急事態を宣言し、感染拡大阻止に向け各国に協力を要請した。アフリカ以外では、スウェーデンやタイで重症化型が確認されている。また型は不明だが、パキスタンでUAEから入国した人物の感染も確認された。
「COVID-19」の場合は、概観で感染の有無ははっきりしない。咳や発熱があっても、ただの風邪かもしれないのだ。しかしこの感染症は、顔面や手・腕の露出部分にも特徴的な膿疱を生じさせる。見た目での識別が、比較的容易だ。

そんなことを思って、先週山手線に乗っていると、向かいのシートに顔にも腕にも隙間がないほどの膿疱を付けた男性が乗ってきた。申し訳ないけれど、息をのんで次の駅で列車から降りた。
調べてみると、重症化型ではないが、日本でも患者はいる。累積で250人ほど。厚労省も「対応に万全を期す」と発表していた。
エムポックス、政府がコンゴにワクチンと注射針を供与へ…国内の感染者は今年15人 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
確かに政府もメディアも、この感染症の危険性は市民に向けて情報を出している。しかし見た目ですぐにわかる感染症が、さほど危険なものに変異しているかもしれないことを、市民が十分認識しているのだろうか?ある時点で、患者(かそれに似た症状の人)を過度に迫害することにならないだろうか?
2年前の流行は、感染力がさほどでなかったせいか、主に男性同士の性的接触で広まり、その点を留意(!)したことで収まったとする説もあります。重症化型の感染力いかんでは、純粋な患者の被害だけでなく、迫害視という二次被害もありえます。当局には、繰り返し正しい情報を伝え続けていただきたいと思います。