DXことDigital Transformtionの推進はすべての企業に求められることだと、かなりの人の間でコンセンサスは得られていると思う。特別定額給付金をオンライン申請したら、自治体では全部印刷して郵送のものと一緒に処理していたという笑えない話もあった。こんなものエストニアだったら2日で振り込まれていたよと、識者は言う。
だからDXだ、デジタル庁設置だという大きな流れは歓迎である。ただそれにつけてもDXのネックと言われているのが人材。いわゆるIT人材が日本の場合ベンダーに偏っていて、ユーザー企業ましてや自治体や教育界での充足率はとても低い。日本企業がなぜ自社のIT部門を強化していないかについては、以前コメントしておいたので参照願いたい。
デジタル人材偏在の原因(後編) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
ではどうするかだが、MicrosoftなどのIT大手が「IT部門以外のプログラミング未経験者でも業務ソフトを開発できる」研修プログラムを実施するとの記事があった。
未経験3万人「デジタル化」マイクロソフトなど研修: 日本経済新聞 (nikkei.com)
目標は2021年中に3万人、なかなか意欲的な数である。注目すべきは「デジタル兼務人材」という言葉、内閣官房セキュリティセンターが「専門は別にあって、サイバーセキュリティも分かる人を+セキュリティ人材と呼ぶ」と言っているが、似た話である。社内の業務が分かっている人がデジタル能力を身に付ければ、貴重な戦力になる。DX推進に役立つというのだが、それには2つの意味がある。
・システム開発は、業務が今どうなっているかが分からないとできない。
・システム化で自分が不要になるかもしれないことに、人は賛成しない。
分かっている人に作ってもらえば上手くいくだけではなく、システム化の抵抗勢力に将来の道を見せることで協力を得やすくするということだ。だからこのようなリカレント教育は、個人にも企業にも前向きな効果をもたらすと考えていい。
しかしこの「研修」には、僕は物足らないものを感じる。対象が業務レベルのそんなに高くない層にあるように思うからだ。
<続く>