「Go To」が全面的に一時停止になってしまい、「せっかく人出が戻ってきたのに」と嘆く観光業・飲食業の悲鳴を、メディアは連日伝えている。感染抑制のためには人を動かさないこととの医師会の主張は理解できるのだが、「8割おじさんの説に従ったらひどい目に遭った、そこまでしなくてもよかった」との不信感も市民の心のどこかにはあるようだ。
「Go To」政策に必ずしも賛成しない僕も、緊急カンフル剤としての効果は認めている。需要が萎めば幅広い業界に被害が及ぶ。観光・飲食ばかりが取り上げられるが、交通事業者も困っているだろう。たまたま地方公共交通(主にバス事業)を担っている事業者さんから話を聞くことができた。その主張は、
・「COVID-19」以前から、地方公共交通は瀕死状態
・JR/郵政など、民間でできることは民間にという政策が致命的
・マイカー移動が常識になったのも、交通事業者には大きな痛手
・世界を見渡しても民間の自助努力だけで公共交通を支えている国は他にない
・そこに「COVID-19」ショックがきて、もはや生きていけない。
というもの。地方の公共交通事業者は、本業の公共交通で発生する赤字を、観光バスや特産品販売などの副業で賄ってきた。それが今回全部ダメになったという。ではどうすればいいかというと、「環境税など新たな税制を作り、公共交通を税で支える」べきだとのこと。それだと赤字続きだった国鉄を税金で補助していた時代に戻るのではないかと危惧した。
どの業界でも「公助」が足りないという話ばかりが目立ち、今年度の国債発行額は100兆円を超えるという。これを誰かが、特に若い人が返済していかないといけないのだが、聞こえてくるのは「医療を削った、社会保障を下げた、教育にカネが回らない」という声ばかり。それに公共交通のための新税という話まで出てきて、正直暗澹たる思いだ。
僕はやはり人が乗らない路線は廃止すべきだと思う。ポピュリズム的には「最後の一人まで取り残さない」というのは正しいのかもしれないが、Social Costを考えれば「こんなところにぽつんと一軒家」などというのは社会悪だ。最近聞かれない「コンパクトシティ」という言葉、今こそ個人の私権制限を行政ができるようにしても進めるべきではないでしょうか?