Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

OECDのデジタル経済委員会

 X'masの時期になると、外電が減ってくる。これは現地政府や各種機構、メディアさえも休眠状態になるから。そんな時期には、日本の対外情報ソースが、国内向けに報告会を開いてくれることが多い。昨年も12月にOECDのデジタル政策委員会のレポートを紹介したが、今年は「デジタル経済委員会:CDEP」の今年の報告会に、リモート参加できた。

 

 OECDは政府間会合だが、これにBIACという民間カウンターパートがある。特にデジタル政策に関しては、官民連携が他のテーマより重要なのでCDEPについても、BIACの存在は大きい。ちなみにCDEPの現在の委員長は、総務省の飯田総合企画官である。

 

 CDEPの現在の主要議題は、個人情報に対する政府のアクセスをどうルール化するかということ。いわゆるガバメント・アクセスについて、中国のように政府は全部見ることができるというでのは、欧米諸国には堪えられない話だ。

 

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 加えて、4つのWGが稼動中で、ひとつがもうじき始まる。それは、

 

・WPMADE(計測分析WG)

 エビデンスベースのデジタル経済政策議論を深めるWG。例えば「国境を渡るデータ」がどの程度増えているのか、ちゃんとした計測と分析が成されるように検討。

 

・WPCISP(通信インフラサービスWG)

 伝統的な通信政策を脱し、IoTや上位レイヤーとの融合を議論するWG。従来の通信インフラ普及政策を越えて、アプリケーション分野も含めた「通信の将来像」を検討。

 

・WPSDE(セキュリティWG)

 サイバーセキュリティガイドラインの改訂と、ステークホルダーの協力を促すWG。自由で公平、セキュアなサイバー空間の実現に向けた議論で、サイバー保険なども検討。

 

・WPDGP(データガバナンスとプライバシーWG)

 ガイドライン整備と青少年保護、医療データ保護、テロ・暴力コンテンツ等に対するWG。多くのCDEP活動に横串を指す議論で、「信頼」の確保をどうするかを検討。

 

・WPAI(人工知能WG)

 新設予定のAI政策論を深めるWG。すでにGPAIという機関もあるが、まず専門家によりAIの光と影の部分を議論し、大きな方向性を検討。

 

 CDEPの閣僚会合は1年後、スペインで開催予定。ここで上記のWGのアウトプットが議論される。来年G7はドイツが議長国、さ来年には日本に議長が廻ってきます。そこに向けた政策議論が活性化するようです。