今回の日曜討論でも取り上げられたように、「COVID-19」感染拡大によって医療体制が崩壊危機を迎えている。重症者用のベッドの占有率が、分母を計画数に置いていて実際に確保されていないベッドも含んでいることに対し、医師会会長が強い表現で見直しを迫った。30~50%の占有率というのは、実際に確保できているベッドを母数にしたら70~90%に相当すると言う説もある。
もちろん、ベッドだけあればいいというわけではない。人工呼吸器等の機材も必要だし、それを運用する看護師などの要員も要る。人工呼吸器で4人、人工心肺エクモに至っては10人が必要らしい。すでに引退した看護師等を呼び戻したりする病院単位の努力ではもう限界だとして、大阪府は自衛隊に協力を要請して看護師確保に努めている。
ドイツでは「有事のガバナンス」として、病院まるごと「COVID-19」専用に換えてしまう措置もとられているらしい。当然その病院に入院している別の病気の患者や、通院してくる人は他の病院に移ってもらうしかない。どこかの国で起きていないことを祈るが、最悪「トリアージ」をやることになるかもしれない。そんな危機感が、日曜討論にしては激しい論戦になった原因だろう。
ほぼ受け太刀一方になった政府側は、西村経済再生担当相ひとりで回答していた。分科会の尾身会長は参加していたが、厚生労働大臣の顔はない。その政府与党だが、「桜を見る会の前夜祭」問題が事件化して、安倍元総理の秘書が立件されたり、元総理自身に事情聴取の手が伸びているとの説もある。またぞろ都合が悪くなった誰かが入院するのではないかと思っていたら、別の事件で「入院者」が出た。
自民党の吉川貴盛衆議院議員(北海道2区)が、2年前の農林水産大臣時代に鶏卵業者から500万円の現金を渡されていたという疑惑。政治資金収支報告には記載のないカネである。追及された元農水相は、軽い不整脈ということで入院したらしい。病床がひっ迫して「助かる命を助けられなくなる」と医療関係者が悲鳴を上げているときに、「軽い不整脈」で入院するなど、言語道断ではないか。いかに国会議員(上級国民?)とはいえ、そんな人にベッドや看護師を付けている状況ではないでしょう・・・違いますか?。