Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日米産業界の共同声明(前編)

 4月に菅・バイデン会談があり、日米間で新しいデジタル政策連携の枠組みが立ち上がった。GDCP(Global Digital Connectuvity Partnership)というのがそれ。具体的には2012年(日米とも民主党政権!)から12年間続いている、日米IED(Internet Ecnomy Dialogue)を活用している。日本でこれを管掌しているのは総務省と外務省、米国では商務省と国務省であり、両国産業界も議論に深く参加している。

 

日米デジタル連携のUPDATE(後編) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 その12回目の日米IED開催にあたり、日米の産業界が「共同声明」を出した。この声明、かつては国境を渡るデータの確保などを日米両政府に提案し、TPPにデータ流通3原則を盛り込ませたという成果を揚げている。上記の記事でも述べたように、声明の主張点は、

 

・5G以降の時代における信頼できるデジタル基盤

・ポストコロナ時代のデジタル化の促進とAIを活用した競争力の強化

・次世代に向けたデータガバナンスの枠組みの構築

・グローバルに調和したビジネス環境の構築に向けた日米のリーダーシップ

 

 の4点になった。

 

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 個別に注目点を見ていこう。まず「デジタル基盤」だが、総務省(ITではなくICT政策)が中心にいることから、ネットワークの比重が高い。産業界もそれを分かっているので、5Gおよび6Gの話が中心になる。5Gの領域でもまだ必要なことはあるが、6Gとなると技術開発・標準化への努力は必須。これを単体の企業で出来ないのは明白なので、日米の政府&産業界で力を合わせようということ。ORAN(Open Radio Area Network)というスキームがあって、これを中心に尽力しようという主旨になっている。加えてリスクマネジメントとして、IoTを含めたサイバーセキュリティの強化と、半導体サプライチェーンの確保も、協力が必要な項目に挙がっていた。

 

 続いて「競争力の強化」だが、デジタル化やAI活用は必須だから、これを十二分に活かせるような国際環境を作ることを日米両政府に求めている。デジタル化を阻む制度的な問題もあるし、AIの負の部分に注目し(過ぎ)ている欧州などの動きも気になる。規制改革などに向けて、産業界は事例を挙げてその必要性を訴えている。

 

<続く>