Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラの相互依存性(後編)

 国交省の「インフラメンテナンス戦略小委員会」でのデータ活用や新技術導入の議論は、まだ図面等のデジタル化と共有、整備記録等のデータ共有から活用といった静的データの活用がメイン。電磁波等で地表から地下の状況を探る移動ステーション、ドローン等の無人機による人のいけないところからの映像確認など、動的なデータも取れるようにはなってきている。

 

 しかし早晩、IoTデバイスを道路・橋梁・トンネル等のポイントに設置して、そこの温度・湿度・振動等のデータをリアルタイムに取得し、活用するようになるだろう。その時のポイントは膨大な箇所になるだろうし、デバイスが吐き出すデータは膨大だ。事故への即応など特殊な状況では、遅延なくデータが取れないといけないこともあろう。5Gの特徴は、

 

・高速、大容量通信

・同時多端末接続

・極めて低遅延

 

 というものだから、未来のインフラメンテナンスに5Gネットワークは極めて利用価値が高いことになる。国交省でも当然それを見越して、将来計画を立てることだろう。ただ僕が言いたかったのは、5Gネットワークというインフラに道路等のインフラが恩恵を受けるだけではなく、逆もあるよということ。

 

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 先日5Gの推進をしている人たちから聞いたのだが、すでに光ファイバなどが橋梁やトンネルを利用している以上に、5Gになると道路などに依存することが増えるという。電波は、周波数によって特性が変わる。低周波数なら、伝搬特性は音に近く回折するから何かで陰になっても回り込んでくれる。しかし5Gではより高周波の帯域に偏ることになるので、伝搬特性は光に近づき直進するようになる。

 

 高層ビルが建ち並ぶ市街地に5Gネットワークを張り巡らそうとした時、一番便利なのは交差点の信号機に中継器等を付けることだという。ビルの上からではどうしても「陰」が出来てしまうから、見通しのいい信号機がベストポジションなのだそうだ。道路行政として交差点は警察庁の管轄かもしれないが、総務省国交省警察庁も連携して信号機上の5G中継器を増やして欲しいものだ。

 

 国交省からは同省管理のインフラだけではなく、農水省管理のものにも広げた連携という言葉はありました。僕はもう一歩進んで、総務省等とも連携して欲しいと思います。インフラには相互依存性があることは、はっきりしていますから。