Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

米国のClean Network政策

 先週「クリーンネットワーク拡大」として、5G時代のネットワークの安全性を守ろうとする米国と、それに協力するEUNATO諸国、関連企業の話を紹介したが、霞ヶ関の人からもう少し詳しい話を教えてもらった。

 

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/10/26/060000

 

 そもそもの話としては、2018年8月に米国連邦議会が「2019年度国防授権法」を成立させたことにさかのぼる。これを機に、段階的にHuaweiやZTEなど中国企業5社の米国政府への納入を禁止していく。

 

・2019年8月以降 上記企業の機器・サービス等の調達取得を禁止

・2020年8月以降 上記製品・サービスを使用する企業等からの調達・取得も禁止

 

 ただ上記の中国企業からの調達ではなく、間接的な調達(中国企業が米国企業に部品を売り、それを使った完成品を政府が調達すること)もNGだというわけ。1年間間接調達を猶予したのは、その間に別企業からの部品に切り替えろと言うことだろう。

 

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 加えて米国政府は2020年4月末、米国の海外含む外交施設の通信の保護のため、中国共産党の影響を受けるベンダーの製品が組み込まれた5Gネットワークを利用しないという「5G Clean Pass」を発表している。同年6月に発表された「5G CleanNetwork構想」では、

 

・Clean Carriers 中国通信網の米国通信網への直接接続を禁止

・Clean Store 中国等のアプリをアプリストアから排除

・Clean App 米国等のアプリが中国製アプリストアに搭載されることを禁止

・Clean Cloud 外国政府がアリババなどのクラウドに情報を保存することを禁止

・Clean Cable 海底ケーブルにおける中国による情報剽窃の防止を徹底

・Clean Path 米国の外交施設が中国企業の使用する5G網を使用しない

 

 という政策になっていて、かなり徹底して「対中国」を明示している。これには日本政府も「特定の国を対象にしたもので、公式に参加は出来ない」としているが、本音では参画していると見ていいだろう。

 

 このくらい徹底していると返って気持ちいくらいですが、単なるトランプ先生の選挙対策とは限らないでしょう。米中対立、ここまで来ましたかという感じです。