「真のDXは新しいデータ活用法を見つけることにあり」と、何度か申しあげてきた。昨今のようなAIブームでも、AIの能力は与えたデータ量によって優劣が決まる。自社の持つデータだけでは、その活用範囲は限られる。だから企業間・業界間でデータを流通させることによって、DXを進めたりAIで未踏領域にチャレンジできる可能性が飛躍的に増える。
しかし現実には、データの流通は難題である。もともと、多くの企業がデータを誰かに提供するために作っていない。だから自分だけに分かればいいので、整理もしていないし体裁も整えていない。データが間違っているかもしれないケースもあり、恥ずかしくて見せられないようなものも(恐らく)ある。
データを求める方からすると、こんなデータがあればいいくらいは考えつくのだが、じゃ誰がもっているのだ、どういう形式で持っていて、どういう契約条件なら使わせてくれるのか・・・が全く分からない。
そこで最初のアプローチとしては、公的機関・準公的機関が持っているデータを公開するというところから始まる。いわゆる「Open DATA」という取り組みで、政府・自治体の持つデータは税金で集めたものだから、納税者に見せる・使わせるのは当たり前だという理屈も成り立つ。
僕が知っているうちで、このような取り組みを大規模に進めているのが「公共交通オープンデータ協議会」という団体。
理事会社(JR東日本・東京メトロ・NEC)含め77団体が加盟していて、オブザーバに内閣官房・総務省・国交省・東京都が名を連ねている。政策議論をしているだけではなく「公共交通オープンデータセンター」という実業も行っている。
・航空、鉄道、バス、施設等のデータを事前処理(クレンジング)して集積
・共通のAPIや標準データ形式でリアルタイムデータも含めて提供
・サービス開発者はこのデータを使って、利用者向けサービスを提供できる
の活動を東京地区から2019年より始め、地方にもカバー領域を広げつつある。また、協議会ではすでに3回「東京公共交通オープンデータチャレンジ」というイベントを行って、新しいアプリ・サービスを募集して優秀なものを表彰する取り組みもしている。今回協議会の中心人物や企業関係者と意見交換する機会があった。
<続く>