また国交省の「インフラメンテナンス戦略小委員会」を聞く機会があった。この小委員会は「社会資本整備審議会・交通行政審議会技術部会」の下部に位置付けられている。この技術部会が、国交省では一番権威の高い会議らしいと識者に聞いた。国交省は霞ヶ関の中でも技術者の比率も処遇も高い省、多くのインフラを所管していて技術の重要性を一番重視している省である。
技術部会に上記委員会が置かれたのは、中長期的なインフラの維持が難しくなってきたからだ。特に地方で著しい過疎化、自治体の税収減などがあり、「日本列島改造論」の時代に作ってしまった道路・橋梁・トンネル等の保守が負担になってきているのだ。そこで中長期的戦略を考えることにして、有識者を集めた小委員会が発足したわけだ。
小委員会での議論が始まった直後に、笹子トンネルで天井版が崩落する痛ましい事故が遭った。これが小委員会の議論を加速することになったのは、言うまでもない。僕が多少この場に関わることになったのは、インフラメンテのデジタル活用が議論され始めたから。以前「インフラメンテのデータ活用」と題して、3話ものの記事を書いてご紹介している。
https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/07/07/060000
今回事務局の説明を聞いていると、ある地域でうまくいった事例などを整理し、それを他の地域で実践できないかの試行もしているし、民間委託を推進したり市民に呼び掛けたりして「国民運動化」しようとしている努力が見られる。加えて「データ活用」については、
・国土交通データプラットフォームのVer.1.0がスタート
・秋田、島根、長崎のでクラウド上に維持管理データベースを整備
するなど、進捗が見られた。2022年は笹子トンネル事故から10周年、それまでに成果を挙げようと気概も感じられる。ここまで来ると、僕にはもう1歩先を考えて欲しいことがある。それは、このところ5Gインフラの議論をしていることと関係が深い。
総務省や5G関連事業者から話を聞くと、5Gネットワークを敷くのに道路等のインフラは非常に重要だと言うのだ。確かに以前から重要な光ファイバが橋梁の下やトンネルの中を通ている話は聞く。
<続く>