Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

運転免許証とマイナンバーカード

 「COVID-19」騒ぎでデジタル活用が必要だというのは、多くの人に認識してもらえたと思う。一方で一番デジタル活用が遅れているのは、行政部門だというのも明らかになった。特別定額給付金の申請については、デジタル申請の方が書面申請より遅くなるという異常事態もおきた。

 

 デジタル申請にはマイナンバーカードとカード読み取り機、さらに電子証明書やそれ用のパスワードも必要で、カードを持っていたとしても容易に申請完結とはいかなかった。これまではこのシステム、事実上税制関係でしか使われていなかった。毎年確定申告をするような人ならカードでのデジタル申告のメリットはあり、慣れているからパスワードも覚えていただろう。滅多に使わないサイトのパスワードをしっかり覚えているという人は珍しいと思うから。

 

 メディアはカードの普及率(約17%)が低いことを取り上げるが、それよりも「何に使えるかが少ない」ことを追求すべきだと思う。住民基本台帳カード導入でひと騒動あったとき、メリットを聞かれた当時の片山総務大臣は、「全国どこでも住民票が手に入れられる」と胸を張った。正直「それだけかよ」と思った人が多かったのではないか。

 

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 その後も番号制度の議論は続き、近年「マイナンバーカード普及には何が必要ですか?」と聞かれることも多かった。表立っては「カードで利用できるアプリケーションの増加が必要です。今回健康保険証アプリ導入の話があり期待しています」などとしおらしく答えた。しかし顔見知りだけの場では「運転免許証だよ。免許証と合体させれば一気に増える」と答えていた。

 

 なぜこれを表でいえなかったかというと(僕が臆病だったのはさておき)運転免許証発行業務が警察関係の利権だったから。運転免許試験場などと並んで、警察OBの多い組織だった。これがマイナンバーカードに統合されれば、カード発行は総務省系が発注することになる。当該組織の役割は、免許証関連データをマイナンバーカード発行団体に送るだけになってしまう。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60667160T20C20A6MM0000/

 

 ところが菅官房長官が「マイナンバー制度を抜本的に改善」と運転免許証機能統合も言及したのだ。わ、ようやくそこに来てくれましたか。運転免許は全市民の75%ほどがもっています。普及拡大に向け、一歩前進ですね。