Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

危機管理時の対応を考える

 昨年末、日本の複数の大手企業が過去に受けたサイバー攻撃のことが報道されて、監督官庁から呼び出されて叱られるということがあった。防衛関連の機密は漏れなかったということだが、攻撃されたこと自体を隠ぺいしたのではないかというトーンで責め立てたメディアもあった。

 

 サイバーセキュリティに関する情報は、通常時になるだけステークホルダーに公開すべきだと主張している僕だが、こういうインシデントつまり非常時にどう関係機関と連絡を取り情報を「共有」するか、さらに直接の関係者以外にも「公開」するかは経営者に課せられた大課題だ。

 

 いつ、どんな情報を、どこまで「共有」し「公開」するか?もちろん決まった回答などはない。日本の企業は、通常時にリスクへの認識や対応の考え方などのことをステークホルダーに伝えるのも苦手だ。ましてや、リスクが現実化した時にどうしたらいいのか?お取引先への連絡、監督官庁への報告、同業他社などとのインシデント情報の共有、そしてステークホルダーへの情報開示・・・。

 

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 僕は機会があれば、メディアの皆さんに「経営幹部がフラッシュの前で頭を下げるシーンばかり報道しないでくれ」とお願いしている。企業の広報が下手なケースももちろんあるが、センセーショナルなシーンだけを追求するジャーナリズムにも問題はある。

 

 だから緊急時の情報共有や開示の勉強は重要だと思っていたら、どうも日本政府がそのお手本を示してくれているようだ。「コロナ禍」の中、政府としての危機管理広報に直面し、申し訳ないがうまくいっていないようだ。

 

https://news.livedoor.com/article/detail/18115335/

 

 例えば世論で大騒ぎになっている「休業補償」だが、Web上の意見を見ると「ドけち政府、他国の休業補償を見習え」という声が多い。西村大臣は「企業への補償はしない、各先進国それは同じ」と言うが世間に伝わっていない。

 

https://www.newsweekjapan.jp/obata/2020/04/post-51.php

 

 のように擁護する意見もあるし、僕から見ると真っ当な評価に思えるのだが。とにかく、弱者を何とかしろとの声が大きい。施策を正しく伝えられなかったのは広報の失敗であろう。産業界も、この失敗例から多くを学ぶべきでしょうね。