Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日本のメディアは何故伝えない

 昨年末から重要インフラかそれに準ずるような産業に対するランサムウェア攻撃が増し、その被害も一般市民に及ぶほどになってきた。米国コロニアル・パイプラインの事件では、身代金5億円を支払って復旧させたものの、東海岸ではガソリンスタンドで給油したい車が長蛇の列をなす異常事態がしばらく続いた。

 

 ニュージーランドのワイカト地区では保健局が攻撃され、国内2位の規模を持つがん治療が出来なくなった。ブラジルの食肉大手も、業務が出来なくなっている。このような攻撃に対しては、日本企業が営々築いてきた「インシデント・ドリブン」で「ボトム・アップ」の体制だけでは対応は不十分だ。被害は起きてしまうし、何が起きているかの把握にも時間がかかり、最小限に被害を収めることも難しい。

 

 だから「インテリジェント・ドリブン」で「トップ・ダウン」の対策を併用しないといけないのは、関係者は頭では分かっている。ただそれに資する「脅威インテリジェンス」が十分得られるかとなると、多くの企業にはハードルの高い話。

 

 この種のインテリジェンスを共有してくれる組織で、最も有名なのが英米政府を始めとする5ヵ国で運営されている「ファイブ・アイズ」というスキーム。このに日本が入って「シックス・アイズ」になれないかということは以前から言われていたが、実際問題としては難しいというのが有識者の意見だった。

 

シックスアイズへの道(後編) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

        f:id:nicky-akira:20210905115845j:plain

 

 ところが、そのスキームの拡張版として、日韓、インド、ドイツを加えた新しいスキームを作ろうという法案が、米国下院の軍事委員会を通過したとの報道があった。

 

米国、情報同盟に韓国・日本を追加…下院軍事委員会で議決 : 日本•国際 : hankyoreh japan (hani.co.kr)

 

 これはその一例だが、日本語のニュースは全て韓国報道機関の日本語版。なぜか日本のメディアが伝えてくれていない。この報道は4日だが、その予兆のような報道も2日に韓国メディアは伝えていた。日本メディアがまさか見過ごしたとは思えないのだが。

 

 軍事面だけではなく外交・経済安全保障についても、極めて重要な動きである。産業界の期待も大きい。政局になって忙しくしているからといって、こういう重要な情報を外されては困るのですが。