「コロナ禍」の間だけという限定条件付きながら、オンライン診療の初診が認められたことは「Beyond COVID-19」時代を考えるうえでいいヒントになった。先日の「日曜討論」では、経団連会長が「週に一日出勤すればいい社会を作れるかも」と今回の奇禍を契機として社会構造を変えたいという趣旨の発言をしていた。これは嬉しいのだが、僕は生まれるのが早すぎたなと、自分の会社人生を振り返って残念に思った。
https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/04/07/140000
それはいいのだが、「日曜討論」の数日前梶山経産相が産業界に対して「人工呼吸器の供給がひっ迫している。産業界も協力してほしい」と言ったのに対し、経団連会長が「規制の問題はあるが努力する」と答えていたことを思い出した。米国では非常事態を受けてこれまでこの種の機器の製造を手掛けていなかった企業にも製造するよう規制緩和があったと聞いていたので違和感を持った。すると日経の記事に、
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57929410Q0A410C2MM8000/
とあって、日本では規制緩和されていないことを知った。
例によって「厚労省・医師会・族議員」のトライアングルだなと思った。ただ調べてみると日本にある人工呼吸器は2万台余りで、通常は6割が使われていない。製造を担っているのは中小の専業メーカーが多いようだ。仮に耐用5年としても年間の市場は4,000台しかない。ここに大手自動車メーカーや電機メーカーが参入したら、中小事業者はひとたまりもない。
現に旭化成は米国子会社での機器製造を月産1万台(通常400台)にするという。これをそのまま日本に持ってきたら、2カ月余りで日本の市場を全部入れ替えてしまえる。トライアングルが現状を守りたい気持ちも、分からなくはない。しかし機器はもちろん製造設備の書類審査や実査などで1年近くかかるというのでは、今回のような急場に間に合わない。これは「アビガン」のような薬剤の審査でも同じで、「緊急非常事態」の意味が分かっていないのではないかと危惧する。
そうでなくても「緊急事態条項」を、憲法に入れたがっている政権です。末節なところにこだわりすぎると、トライアングルさんも大本を抑えられかねませんよ。