Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

仮想通貨「習」が流通する未来

 仮想通貨と呼ぶか暗号資産と呼ぶかは別にして、Crypto Currency は多くの人の注目を集めている。すでに投資対象として、その価格の上下に一喜一憂している人もいる。Facebookの創業者ザッカーバーグCEOは、仮想通貨「Libra」の発行に圧力がかかって頓挫させられた時、「ならば中国の仮想通貨が世界を支配するぞ」と警告を発した。

 

 その言葉を裏付けるかのように、中国政府は仮想通貨に対してこれを容認するように動いている。自ら発行すると発表するにはまだ時間がかかるかもしれないが、少なくとも「採掘」は禁止していない。

 

https://jp.reuters.com/article/china-cryptocurrency-idJPKBN1XH2NA

 

 米中紛争が表面化したHuawai幹部の拘束事件にしても、5Gをめぐる両国の覇権争いの結果である。同社はすでに、5G関連の技術開発に1兆円ほどの資金を投入したと伝えられる。スマートフォンはもちろん、世界中の5Gルータが同社製になったら、「国家情報法」によって同社がルータから得た情報は全て中国政府の知るところになる。中国政府は、合法的(!)に世界中の盗聴できるわけだ。

 

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 さらに中国政府か中国企業が仮想通貨「習」を発行して、これを管理監督するようになれば、世界中のお金の流れも知ることができる。日本の政治家が有権者にお金を配ったことも、中国政府には筒抜け。この政治家は、中国政府の要求を拒めなくなる。ザッカーバーグは、こういう未来を危惧したのかもしれない。もちろん、ただの負け惜しみかもしれないが・・・。

 

 そもそもの通貨の意味を考えてみた。1万円札は、物理的にはただの紙片。皆が1万円の価値があると信用しているから、価値を示すものとして流通する。かつては兌換紙幣というものがあり、日銀に持ち込めば金✖グラムに替えてくれたので価値が保証されていた。それが金と交換できない不換紙幣になっても流通を続けている。そう、1万円札は信用で流通しているわけだ。

 

 仮想通貨も同じで、信用があれば流通する。今一部の人たちの間だけで流通しているのは、仮想通貨を保有・使用している人たちがそれを信用しているからだ。インターネットを自国内に閉ざして「鎖国」している中国政府が、仮に仮想通貨を発行した場合国外で「信用」を得られるかどうかは定かでなない。通貨「習」の発行以前に国際社会への様々な説明責任を果たしてほしいと、中国政府にはお願いしたいです。